naotoiwa's essays and photos

カテゴリ: writing



 連載小説、まずは本篇第一章、四月篇をアップします。こちらからどうぞ。

 敢えて地名は記していませんが、この小説がどこの街を舞台にしたものか、すぐにわかると思います。ちょいと古風な観光案内としてもお役立てください。

 もうすぐ「花祭り」ですね。文中に出てくるお寺の花祭りはオススメです。

天上天下唯我独尊


 



 エルゴソフトの EGword。80年代、90年代はもっぱらこれを使って文書作成を行っていた。縦書き、原稿用紙書きが自由自在。マックユーザー御用達のワープロソフトだった。が、10年ぐらい前にサポートは完全終了。その後はやむなくマイクロソフトのワードで代替しているが、やっぱりこれじゃあ「書く気」は起こらない。だって、名前からしてオフィスですからw

 その EGword が今年になってリバイバルしたのである。物書堂という会社が買収して最新のマックOSにも対応させたとのこと。
egword

 さっそくダウンロードしてみた。すると、漢字トーク時代に書いていた文書のアイコンが次々に復活。何十年ぶりにいくつかの文章が蘇った。例えば、こんな一節。


 この部屋の窓から見えるもの。それは空と、時々のカモメ。そうして、夜には月と星。「海が見えないのだけが残念ね」とヨダが言う。「ここは海抜何メートルなの? 」
 部屋のインテリアはぜんぶヨダが決めた。白い壁に白い天井。床に白いリノリウム。白いテーブルがひとつに白い椅子が二脚。白い鉄製のベッド。白いブラインド。それ以外は何もかも壁の中の巨大なクローゼットに隠してしまった。ぜんぶ真っ白。エポケ。「いくらなんでもちょいと殺風景」とぼくが言う。「せめてモンドリアンぐらい飾らない? 」
 ヨダがクローゼットの中のオーディオを操作している。チューナーのリングを回す。……ザーザー。くるくる回す。ザーザー、ザーザー。それを何度か繰り返しているうちに偶然どこかの放送局と周波数が同調して音楽が流れ始めた。するとヨダが楽しそうに言うのだ。「これが聞きたかったのよ」と。「その時偶然流れてくる音楽が、その時一番聞きたかった音楽なの」



 20代の前半に書いていた小説の断片のようである。。主人公はアンドロメダ大星雲からやって来た女の子、ヨダ。


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