naotoiwa's essays and photos

カテゴリ: academic



 トシを取ると涙腺が緩みやすいと言うが、まあ、自分はそう易々とは……と思っていたが、あらら、これには参った。昨日、卒業する4年のゼミ生のみなさんからこんなアルバムをいただいてしまった。昔で言えば、卒業記念の色紙といったところだろうが、我がゼミ生たちは、それを格好よくアートディレクションされたフォトブックに仕上げてくれた。私が授業中に話した(らしい)言葉のアフォリズム集になっている。おおお、ちゃんと授業中にメモ取ってくれていたのね。こんなこと言ったっけなあ。あああ、確かに言った言った。
 この後、それぞれのゼミ生のメッセージがかっこいいモノクロの写真入りで載せてある。ううう、涙腺が。……ありがとう、みなさん。そして、改めてご卒業おめでとう!これからもどうぞよろしく。

album1

album2



 池澤夏樹さんの「キトラ・ボックス」を読んでいる。3年前の「アトミック・ボックス」の続編。話の内容は全然違うけれど、共通しているのは、どちらも大学の若き研究者たちが主人公のミステリー小説であるということ。池澤夏樹さんの深い素養に裏付けされたミステリー小説というだけで、これはもう読み手としてはかなりシアワセなのであるが、そこに大学研究者たちのピュアな発言や行動が重なって、読み進むうちになんとも爽やかな気分になってくる。

キトラ・ボックス


 さて、大学教員の末席に加えさせていただいてからまだ一ヶ月も経っていないが、同僚の先生たちの会話に接していると、同じ爽やかさを感じる今日この頃である。彼ら彼女らは「個」としての自分の判断を最大限大切にして、そして常にそのことに責任を持って行動している。組織はもちろん大切。円滑かつチャレンジングなこれからの大学経営を行うためにそれぞれがベストを尽くす。でも、最終的な判断の拠り所は個々人の価値観と美意識なのだ。組織の側もいったんその人の専門性とコミュニケーション能力を信頼したのなら、徹底的にその人の裁量に任せ切ってくれる。そして、そのことは若き専任講師に対してもベテランの教授に対してもまったく同じ。フラットなのである。

 話が逸れてしまったが、「キトラ・ボックス」の主人公たちも、自分自身の価値観と美意識と正義感で行動する若きピュアな研究者たちだ。古代史研究でも造詣が深い池澤夏樹さんの歴史ミステリー小説、結末やいかに?

このページのトップヘ