都心でも最高気温が10度を下回った。真冬である。悪くない。
元来、僕は冬の方が好きなのだ。夏は苦手。もちろん夏という季節に憧れはあるものの、生理的にダメ。夏は冷える。冷房で冷えるし、汗をかくだけで体が冷える。そもそも汗をかくのがキライ。一枚しかない皮膚はこれ以上脱ぐことができない。その点、冬は暖かい。着込めばいいのだから。足元を温めれば、頭寒足熱。アタマはキリリと冴え渡る。
冬の昼間はあっという間に終わる。「雲ひとつなく昼は過ぎて、なにもかも最後まで美しかった」。ずいぶん早い時間から闇夜が口を開けて待っている。夜は長し。だからその分だけ、たくさんの秘密が待っている。意味のある言葉なんか要らない。ヴォーカリーズ。