最近、丸山珈琲の西麻布店で本を読んだり書き物をしていることが多い。広いし、家具のセンスがいいし、珈琲はいろんな種類を楽しめるし、そしてちょっぴり懐かしい。

 丸山珈琲。今でこそ東京にも鎌倉にも素敵な店舗がいっぱいあるが、昔は(といってもせいぜいが2000年初頭の頃のことである)丸山珈琲と言えば軽井沢の南ヶ丘の入口にある、ちょっと鄙びた、でもコーヒー通は誰もが知っている店だった。まだ、星野リゾートが本格的に中軽井沢をディベロップする前の時代の話である。

 軽井沢のゴールデンウィークや夏休みはとにかく車の渋滞がひどい。今のようにカーナビも進化していない時代は、自分で渋滞を避ける道をいくつも覚えるしかなかった。そんな道を経由しながら辿りつく丸山珈琲で、長閑な夏の終わりの時間を何度か過ごさせてもらった。まだ大震災が起こる前のことだ。

 雲場池、チェコスロバキア公使館跡、堀辰雄1412番別荘、愛宕山、オルガンロック。…毎年、「夏(の終わり)が来れば想い出す」情景は、私の場合、軽井沢のようである。

遊覧道