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cloudy
先日、馴染みの中古カメラ店で、「使わないレンズがあったら是非持ってきて」と言われたので二本あるズミタールの一本を持っていったら、昨今、ライカレンズがこれだけ高騰しているというのにずいぶんと低い査定額。「全体に曇りが、」「絞り羽に油も、」とのこと。納得がいかなくて他の店で飛び込みで査定してもらったら値段はその倍。レンズ清掃にかかる費用やお店の原価率等はだいたい理解しているつもりだが、馴染みのお店だと思っていたのはこちらだけのことかとちょっと悲しい気分になって、もうどこにも売らないと決めた。
ズミタールは製造数も多い汎用レンズ。この個体は十年前に買ったときから薄っすらと中玉が曇っていたが、珍しく前玉の摺れ傷が皆無なのでけっこう気に入っていたもの。曇りレンズだが、cloudy って言えば響きがいい。そう言えば、ニュージーランドワインのブランドに「Cloudy Bay」というのもあったよね?

Summitar 50mm f2 (cloudy) + M10-P
Color Skopar 50mm f2.2
粗な写り
眼福
ヨドバシ フジサワ カメラミュージアムへ。藤沢会長のカメラコレクションを集めたミュージアム、ということで新宿駅東口からのんびり歩いて行ってみた。立派なエントランスである。でも、金曜日の夕方なのに来場者は他に誰もいない。受付の方から「どうしてここを知ったのか」と何度か尋ねられた。あまり広報をしていないらしい。
ゲートをくぐる。……うわあ、これは、スゴい。圧倒的な物量。のみならず、のっけからそのライカコレクションの希少性に驚いた。ライカ本社にもこんなの残ってないんじゃない? と思えるほどの充実ぶりである。A型のエルマックス付、アナスチグマット付がなんと連番で。それどころか、オスカー・バルナック本人のサイン刻印がついた試作機のヌル・ライカまであった。他にも時代が下って、M3 初期型(M3 発売が1954年なので製作はその前年か前々年のもの)や、70年代のミノルタと組んで制作した CL の初期型(ズミクロン付)などなど。
ライカコレクション以外では、なんといっても、あのアポロ11号月面着陸時のムーンカメラ、ハッセルブラッドの一台まで展示されていたのには驚いた。機種は 500ELの1969年製。付いていたレンズは Biogon 60mm f5.6。これは初耳。後で調べてみたところ、やはり NASA 専用の特殊レンズで、中古市場に流通しているDistagon 60mmとはレンズ構成が違う。
いやあ、コレクションの質と量が凄すぎて、何時間あっても足りない。入場料3000円を高いと思うか安いと思うかだが、眼福のひとときであったことは間違いない。
トリプレット
ゾナータイプ
滲み
FED
pre war
オールドレンズ&カメラの楽しみ方のひとつに製造年にこだわって集めるというのがある。自分の生まれた年のものを選んでバースディライカと称したりするのがまさにそれである。
私の場合、意図的に製造年を選んで購入することはなかったけれど、結果として当時の思い出が詰まった年のものに遭遇することも多かった。例えば現在手元にあるハッセルブラッドのSWCは1979年製。高校卒業後、京都で浪人時代を過ごしていた年に当たる。今から思うと人生の最初の岐路に立っていた時のことである。
ま、それはさておき。60年代、70年代のインダストリアルデザインが好きなので、おのずとその世代のレンズやカメラが多く集まってくるのであるが、最近は戦前(第二次世界大戦前)のものに心引かれる。ここまで古いと自分の人生のエピソードとはまるで関係なく、単なる歴史的なロマンだけなのであるが、気がつくとここ数年に購入したもののほとんどが戦前のものである。コンタックスⅡやビオゴン35ミリ、ゾナー85ミリ、ライカのエルマーやズミタールといった汎用レンズも敢えて戦前のノンコートものばかりを選んでいる。それらはもうかれこれ90年ぐらい経過しているものなので、調整してもシャッタースピードは安定しないし、レンズも曇りや傷だらけ。たまに嘘みたいに綺麗な個体に遭遇することがあって思わず買ってしまうのだが、それらはもしかしたら後の時代のものとのニコイチとか、研磨されたものかもしれない。でもまあ、それでいいのである。1930年代に造られたカメラやレンズであることの片鱗がどこかに見え隠れするだけで、気分はアガる。

古い時代のもの、いにしえのものは、ただそれだけで美しい。こういうタイプの人間が骨董の世界に陥ったら大変なことになりそうなので、今のところはなんとか実用に使えるオールドカメラ&レンズだけに留まっているのであるが、この病気も昂じると、、








