カテゴリ: lens
Hasselblad
Elmarit 2nd
狛犬
あしからず
ずっと探していたズミクロン90ミリの初期型(最初期型ではなくフード内蔵になってからのもの)、ようやく程度の良いものを見つけることができた。1959年製。しかも、ビゾフレックス仕様(11126 / OERDO)である。このレンズ、被写界深度はかなり浅いし、おまけにずっしりと重いので、レンジファインダーでの撮影だとさすがにピントを外しやすい。ゆえに、デジタルライカならライブビュー撮影、あるいはニコンのZf のようなミラーレスにアダプターを介して手ぶれ補正をかけて撮影するのがベスト。ならば、最初からビゾフレックス仕様なっている方が理に適っている。
そして、距離計連動が省かれている分、ビゾフレックスレンズは通常のMマウントのものよりかなりリーゾナブルな価格設定になっている。近頃のライカレンズは、その殆どは10万円以下で見つけることができない。例えば、パンケーキレンズのエルマーの35ミリ。10年前には5万円も出せばかなり程度のいい個体が買えたが、今では15万円がアタリマエ。ニッケル仕様だと25万円もする。現在、10万円以下で買えるものと言えば、R型レンズの一部とビゾフレックスレンズぐらいのものである。
さて、この個体、チリの混入も多いし、オーバーホールは為されていない模様。でも、その方がかえって好感が持てる。急ぎレンズクリーニングしてから販売してます、という商業主義的なところがない。コレクターの方が長年丁寧に保有されていた委託品である。それをそのまま大切に受け継ぎたいとココロから思える個体だった。
さっそくM10-Pにレイクオール社のVISO-LMアダプター経由で取り付けて撮影してみる。さすがの大口径望遠レンズ、絞り開放だと蕩けるようなボケが味わえる。

Summicron 90mm f2 1st (visoflex version) + M10-P
最後に余談をひとつ。近頃馴染みの中古カメラ店に行くと、「買ってください」よりも「売ってください」と言われることの方が多くなった。そろそろ次世代に譲る番ですよ、ということか。まあ、その通りではあるのだけれど、まだまだ現役で、仕事にも作品作りにもオールドレンズ&カメラを使い続けているので、あしからず。
Hektor 2.8 + Ⅲa + Suooq
ここ数年、写真フィルムの価格がどんどん高騰し続けている。ISO400のカラーネガフィルムは36枚撮りで2000円を超えている。それに現像代が最低1000円かかるとして、合計1本最低3000円。高速のSDカードが買える値段である。
個人的にはフィルムはこれからもずっと(なくならない限り)使い続けると思う。印画紙に被写体が徐々に浮かび上がってくる、暗室でのあの静かな高揚感はなにごとにも代えがたいし、デジタルカメラのセンサーの解像度がどれだけ上がろうが、フィルム独特の階調の豊かさと柔らかさはやはり格別である。仕事ではさすがに使う機会も減ってくるが、自分自身の作品制作には、これからもアナログカメラにフィルムを装填して撮影を続けていくことだろう。まずもって、あまのじゃくな私は、このデジタル全盛の時代だからこそケミカル贔屓を貫くのである。
でも、日常の趣味カメラとしては、もはやファッションとして楽しむのが一番いいのかもしれない。モノとしての存在感とそのデザインがすべて(ついでに写真もちゃんと撮れます、的な)。ボディとレンズとアクセサリー、その組合せを楽しむのである。例えば、バルナックライカ。ニッケルレンズならもちろんボディは銀象嵌のブラックペイントで(C型かDⅡ、DⅢ)。梨地のシルバーレンズならダイカスト製になる前の板金加工のⅢaがいい。例えば、1935年製のHektor 2.8cmf6.3 のレンズには1937年製のⅢa、アクセサリーシューには1935年製のサイコロファインダーSUOOQを乗せて。

AF-S Nikkor 58mm f1.4 + Df
Biogon28mmF2.8
ビオゴン28mmF2.8(G mount)を買い足した。このレンズ、いいのである。階調がすばらしい。ハイライトもシャドウもどちらも粘る。以前に(10年ぐらい前)買ったものはMマウントに改造してライカで距離計連動させて使っている。でも、やはりもう少し寄りたい。本来の最短距離(50センチ)で使いたい。ということで買い直したのである。今回は素直にソニーのEマウントにヘリコイド付きのアダプターを付けて使うのである。
あのチタンゴールドの鏡胴の色がどうしても苦手なので、数の少ないブラック鏡胴のものをずっと探していたのだけれど、先日、ようやくレンズ状態も良くて値段もリーゾナブルなものを見つけた。数が少ない分、通常のチタンゴールドのものよりは値段が張る。でも、このカールツアイスの名玉がライカレンズの五分の一ぐらいの値段で手に入るのだ。
で、さっそく試写してみる。開放で撮ると、あれ? このレンズ、こんなにオールドレンズっぽかったかな、とちょっとびっくりしてしまった。ピントが合ったところはもちろん繊細にシャープなのだが、周辺はけっこうゆるく流れるし、ゴーストも出る。Mマウントに改造した方はきっちり端正に映る優等生なのに。対称型のビオゴンなので寄りすぎるとこうなるのか、あるいは個体差だろうか。でも、これはこれでけっこう気に入った。色温度も少し黄色に振って、オールドレンズらしさを強調してみることにする。



all photos taken by Biogon 28mm f2.8 G mount + α7s
90年代に京セラとツアイスがコラボしたこのGマウントレンズ、悪くないのである。例えば90ミリのゾナーなんてイマドキ2万円以下で程度のいいのが買えるが、マニアックなエルノスター型のレンズ構成である。今更ながら、プラナーの45ミリや35ミリも揃えてみたくなる。もちろん鏡胴の色はブラックで。
triplet
焦点距離年齢説(28歳は28ミリ、35歳は35ミリ、50歳は標準の50ミリ)はやはり正しいのかしれない。最近、中望遠レンズの方が生理的にしっくりくるようになった。
手元に集まってくるレンズもライカマウントならば、ヘクトール73ミリF1.9やヘリアーの75ミリF1.8、90ミリも戦前のファットエルマーF4、エルマリート90ミリF2.8、テレエルマリート90ミリF2.8と、いつの間にか中望遠ばかりが増えている。となると、やっぱり次に欲しくなるのは、同じエルマーでもトリプレットの三枚玉。ボケも滲みもそろそろ卒業。収差がどうのこうのもそろそろおしまい。すっきりシャープなのが一番いい。で、長年の念願叶ってこの度、程度の良いトリプレットを入手することができた。


Elmar 90mm f4 (triplet) + M10-P
評判通り繊細かつシャープなレンズである。特にメタリックな素材の表現は秀逸。でも、後ボケも想像以上に柔らか。F4とは思えない。たった三枚のレンズでここまで写る。
レンズの枚数ってなんなのだろう。多ければいいってものじゃない。確かに有名なズミクロンの八枚玉は繊細かつまろやかだったけど(もう手元にはない)、色味はこのトリプレットほど清澄でなかったように記憶している。昔々はベストポケットコダックなど単玉(一枚玉)で撮影していたわけだし、レンズは枚数が多いほど良くて、イマドキは非球面レンズが何枚か入っているのがスタンダードという常識は疑ってかかった方がいいかもしれない。
このトリプレット、貼り合わせがないからバルサム切れを起こすこともないし、曇りも生じにくい。それになによりも軽い。中望遠なのに200グラムあるかないかの軽さである。焦点距離年齢説もいいけれど、年を取ったらまずもって軽いレンズを選ぶべき。
初めてのデジタルライカ
初めてデジタルのライカを買ったのは2012年。ウィーンのライカショップでM9-Pを購入した。当時は1ユーロが100円ちょっと。今じゃ考えられないくらいの円高。ので、日本で買うよりユーロ圏で買う方が格段に安かった。しかも旅行中のためタックスフリー。ということで、購入してそのまま夕暮れ時のプラーター公園まで行き、初めて撮ったのがこの写真。

Summicron 50mm f2 4th + M9-P @Wien 2012
レンズは日本から持って行ったズミクロン50ミリ。球面ズミクロンの第四世代(6ビットコードは付いていない)で、90年代後半に買ったレンズ。おそらく新品で買ったライカレンズはこれ一本だけだと思う。ライカレンズにしてはあまり個性がなさそうに思えるこのレンズを、最近、写真家の方も再評価しているもよう。https://camerafan.jp/cc.php?i=839
それから、このM9-Pで世界中のいろんな街を撮りまくった。フィルムライクなCCDセンサーの色。ズミルックス35ミリの開放付近で撮るとなんとも柔らかな空気感が映り込む。

Summilux 35mm f1.4 2nd + M9-P @Venezia 2013
その後、例のセンサーガラス剥離が生じて、2012年に買った個体は手放すことになったが、CMOSセンサーでは出せないこの色合いが忘れられず、去年再度買い直すことに。……私のファーストデジタルライカである。
経年変化
オールドレンズ&カメラの収集撮影をはじめてかれこれ30年近くになるけれど、最近のヴィンテージレンズ&カメラの高騰はすさまじい。特にライカ。10年前の2倍3倍はアタリマエである。円安の影響もあるだろうが、まずもってタマ数がもう日本にはほとんどなくなってきているのだろう。2倍3倍の値段がしても程度の良いものがどんどん減ってきている。そんな中でコンディションの良いものを探すのは(しかもリーゾナブルに)至難の業で、たまに遭遇するもののほとんどが強者のコレクターが長年保管していたものに限られる。言い換えれば、長年のコレクターが手放さない限り、今ではそうした良いコンディションのオールドレンズ&カメラには巡り会えないわけで、ということは、そういった状況(往年のユーザーが年を取られて老眼がひどくなりもう使えなくなったとか、残念ながらお亡くなりになって遺品整理で譲渡されたか)が起こらない限り、市場には出回らないということである。
なんとも切ない話だが、最近、自分もそろそろ同じような年齢に近づいてきているのかもと思いながら、防湿庫にあるレンズをひとつひとつLEDライトにかざして眺めてみると、数年前まで曇りひとつなかったと記憶していたレンズの中玉の周辺がうっすらと曇っていたり、当時は気づかなかった小さなバルサム切れのドットを発見したりする。古いものに至っては90年以上経過しているレンズもあるので、いよいよ経年変化が表面化したのか、あるいはここ数年の夏の異常な高温で、いくら防湿庫で湿度だけコントロールしていてもダメなのか。何本かレンズをクリーニングに出してはみるものの、キリがない。
レンズの経年変化は自分自身の経年変化を可視化されているようにも思われて、ちょっと憂鬱な気分になってしまう今日この頃である。

久しぶり巡り会えたコンディションの良いヘクトール7.3cmf1.9を、同じ3群6枚トリプレット構造のヘリアー75ミリf1.8にて撮影。ややこしい。




