naotoiwa's essays and photos

カテゴリ: spring



 朝靄の中、紅白の梅林が見えている。鮮やかな紅白のコントラスト。午後からは20度近くまで気温が上がるという。でも今はまだ朝の6時。空気のソコがシンとしている。

梅林

 朝霧の中、かなたの山の稜線はまるで見えない。砂利道に一本の道筋だけが続いている。

砂利

 梅林に近づいてゆく。梅林のトンネルに入ってゆく。離れて見たときはあんなにコントラストがはっきりしていたのに、今こうして見上げると、早朝の薄青の空を背景にして、二色はあいまいに混ざり合い、朝霧の中に溶けてゆく。そして時折、梅の花の香りがシンとする。

all photos taken by Kinoplasmat 2.5cm f1.5 + E-PM1

bamboo shoot

Kinoplasmat 25mm f1.5 + E-PM1


 bamboo shoot.




sakura color

Summicron 50mm f2 4th + M9-P


 sakura color.




 近所に素敵な花屋さんがある。店の前に小さな黒板が置いてあって、白いチョークでそこに季節の歳時記の言葉が書かれている。その言葉がいつもとても柔らかい。前を通る度に心が和む。例えばこんな感じだ。「明日は冬至です。一年で一番日が短い日です。でも、それってつまり、これからはどんどん日が長くなるってことですよね?」

 で、今週。店の前を通ったら、「もうすぐ大寒ですね。でも、木々も確実に芽吹いてきました。もうそろそろかな。でもまだまだかな?」とあった。つられてブーケをひと束買った。

spring

Lumix G Macro 30mm f2.8 + GM1


 春は待ち遠しい。でも、このままずっと冬が続くのも悪くはない。春生まれの、でも冬が大好きな自分にとって今はとても複雑な気分である。まさに、もうそろそろ。でもまだまだ。…

 ちなみに、T・S・エリオットの「荒地」の出だしは有名なこんな文章から始まる。

 四月は最も残酷な月、死んだ土から
 ライラックを目覚めさせ、記憶と
 欲望をないまぜにし、春の雨で
 生気のない根をふるい立たせる。
 冬はぼくたちを暖かくまもり、大地を
 忘却の雪で覆い、乾いた球根で、小さな命を養ってくれた。


「荒地」T・S・エリオット 岩崎宗治訳


このページのトップヘ