naotoiwa's essays and photos

カテゴリ: snow



 連日35度以上。日中は10分も歩けば全身の毛穴から汗が吹き出す。日が落ちてからも風は吹かない。この猛暑、いつまで続くのか。

 昨日、そんな猛暑の中で屋外でテニスをした自分が悪いのだけれど、ポリエステル100%の速乾Tシャツも数分で汗だくになり肌にべったり貼り付いたまま。湿度80%。いくら冷たいドリンクを飲んでも体温が下がらなかった。

 今週からそろそろ夏休みだし、避暑地に逃避しようとも思うのだが、今年の夏に限っては避暑地などというなまやさしいレベルでは解消しそうもない。いっそのこと、一足飛びに明日から真冬になってくれたらと思う。真冬のニセコか安比高原で全身フローズン状態に包まれたいと切に願う。その願望を現実にかなえるとすれば、いますぐ南半球に行くしかない。ということで、結構マジでニュージーランドのスキー場の積雪状況を調べていたりする自分がいる。

 クィーンズタウンは気温マイナス5度か。フムフム。


white out

GR 18.3mm f2.8 of GRⅡ


 whiteout




 改札を抜け3番線のプラットホウムに降り立ってみたものの、列車が到着するまでにはまだ10分ぐらいあるようだ。雪が降り続いている。50メートル先が見えない。改札の案内表示に「今の気温:ー10度」と出ていた。ホウムにこじんまりとつくられた待合室はすでに満員である。

 「次の3番線下り列車は3両編成で参ります。足もと1番から9番までの番号表示のところでお待ちください」とアナウンスが聞こえているが、積雪で番号表示を確認することはできない。おそらくは進行方向に向かって先端あたりに停車するのだろうと勝手に推測し、ダウンジャケットのフードを被り直しマフラーをぐるぐる巻きにして、待合室のあるエリアを通り過ぎていく。

 ふと雪の匂いがした。ツンとして、でもどこか懐かしいような。雪に覆われた地面の奥底の、甘い土の匂いがほんの少しだけ混ざっているような。

プラットホウム

 ホウムの先端に、女の人が立っていた。ひとりでずっとそこで、列車が到着するのを待っている。近づいていくと次第に彼女の姿のディテイルが見えてくる。背中まで伸びた長い髪。真っ赤な手袋をしている。紺色のダッフルコートを着ている。そして、ダッフルコートの脇に、おそらくはその中にヴァイオリンが隠されているだろうケースを抱えている。音楽教室の練習帰りだろうか。

 彼女の隣に並ぶ。こっそりと横顔をうかがう。真っ白な肌、寒さのせいで頬に赤みが差している。そして、大きく前を見据えた瞳。眉のところで切りそろえた前髪。

 イヤホンを耳に付けている。そこから少し音漏れがしている。クラシック音楽。たぶんシューベルト。弦楽四重奏。転調をめまぐるしく繰り返している。

 と、その時、突風が我々の顔をめがけて襲いかかってきた。彼女の長い髪がメドューサのように束になってグルグルと宙に舞う。頬の赤みと口紅の赤、そして手袋の赤がバラバラの断片になる。その背景で、雪片が青白くキラキラと光っている。

雪化粧

GR 18.3mm f2.8 of GRⅡ


 雪化粧。


bicycle

Kinoplasmat 2.5cm f1.5 + E-PM1


 bicycle in the snow.


snowland

Jupiter 50mm f2 + Ⅱf + Acros100


 snow land.




 今年のJR SKYSKYキャンペーンは「わたしを新幹線でスキーに連れてって」。




 そうなのである。かの「わたスキ」をモチーフにしたコンテンツ企画というのか、パロディというのか。今年で30周年。そして、なんだかまたバブルの匂いがしている2017年の今だからこそと、キャンペーンの企画者は考えたのだろうか。

 1987年公開の「わたしをスキーに連れてって」。名セリフがいっぱいある。その中には「志賀と万座、直線距離だと2キロなのに、菅平まわると5時間」というフレーズもあったが、これ、ほんとうにリアリティのあるセリフだった。小布施経由で何度この道を通ったことか。

 今年の冬は久しぶりに志賀高原に行こうか。奥志賀高原もいいけれど、ここは定番の焼額。今年から車が四駆ではなくなったので、長野まで新幹線で行ってそこからバスで向かうのも悪くない。(完全にJRの戦略の思う壺であるw)バスの窓から眺める冬景色はそれはそれでまた格別なのだから。

 長野駅前のバス乗り場で志賀高原行に乗る。バスは高速を二区間だけ走ってから専用道路に入る。そのころから雪がちらつき始め、うねるようなカーブを十ぐらいクリアする頃には、道路が真っ白になってくる。トンネルを抜ける度、白い世界は着実に完成していく。最初は道路だけだったのが、次には山肌が真っ白になり、その次には道路脇の家々が全部、そしていつの間にか見渡す限りすべてのものが真っ白に覆い尽されていく。最後のトンネルを抜けた時、ふいに道路の真上をリフトが横切って動いているのに出くわす。乗っているバスはそのリフトの下をくぐって行く。「さあ、ここが志賀高原の入口だ」

 いつものファットスキーもいいけれど、この冬は数年ぶりにノルディカのスピットファイヤーに乗ってみようと、エッジの錆を落とす週末。

ノルディカ

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