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狛犬
悩めるビゾフレックス
ライカのマクロレンズ、Elmar 65mm f3.5をデジタルライカで使いたいのである。しかしながら、このレンズ、M型レンズでもL型レンズでもR型レンズでもない。ビゾ用レンズなのである。CMOSセンサータイプのものであれば問題ない。レイクオール社他の優秀なVISO-LMのアダプターを使ってライブビューでピントを合わせれば済む話である。でも、あまのじゃくな私は、ライブビューの付いていないCCDタイプのM8やM9やMMでElmar 65mm f3.5を使いたいのである。となると、やはり時代を遡ってこういう大仰なことになる。昔の、レンジファインダーを一眼レフに無理矢理変えるボックス、ビソフレックスをかませることとなる。

Portrait Heliar 75mm f1.8 + α7s
MM(初代モノクローム)に付けているのは1963年製のビソフレックスⅢである。ほんとうはもう少し小ぶりでシンプルな1959年製のビゾフレックスⅡにしたいのだけれど、いろいろ試行錯誤してみてわかったことがある。問題はアナログのM型ライカとデジタルライカの寸法の違いである。M10以降、デジタルライカはアナログのM3やM4なみに奥行は薄くはなったが、高さが数ミリ違うのである。そのため、ビゾフレックスⅡ用の通常の90度アングルファインダーのOTXBOが軍艦部に抵触してしまう。これを解決するには直立ルーペ(OTVXO)に変えればよいのであるが(ということで先日OTVXOを購入したのであるが)、もう一つ問題がある。軍艦部の高さが数ミリ違うため、ビゾフレックスから伸びたアームの先とシャッターレリーズボタンの間に隙間がない。つまりはアームを下げてミラーアップするのと同時にシャッターボタンが押されてしまい、ミラーアップする直前の鏡面が映ってしまうのである。ので、やむなく大仰なビソフレックスⅢにチェンジすることにする。ビソフレックスⅢはアームを下げなくても単独でミラーアップできるからだ。
ということで、距離計連動でMMでビゾフレックスⅡ(OCLOM)と直立ルーペ(OTVXO)を写したのがこちらの写真である。

Elmar 65mm f3.5 + VisoflexⅢ +16499 +MM
1928年
Hektor 2.8 + Ⅲa + Suooq
ここ数年、写真フィルムの価格がどんどん高騰し続けている。ISO400のカラーネガフィルムは36枚撮りで2000円を超えている。それに現像代が最低1000円かかるとして、合計1本最低3000円。高速のSDカードが買える値段である。
個人的にはフィルムはこれからもずっと(なくならない限り)使い続けると思う。印画紙に被写体が徐々に浮かび上がってくる、暗室でのあの静かな高揚感はなにごとにも代えがたいし、デジタルカメラのセンサーの解像度がどれだけ上がろうが、フィルム独特の階調の豊かさと柔らかさはやはり格別である。仕事ではさすがに使う機会も減ってくるが、自分自身の作品制作には、これからもアナログカメラにフィルムを装填して撮影を続けていくことだろう。まずもって、あまのじゃくな私は、このデジタル全盛の時代だからこそケミカル贔屓を貫くのである。
でも、日常の趣味カメラとしては、もはやファッションとして楽しむのが一番いいのかもしれない。モノとしての存在感とそのデザインがすべて(ついでに写真もちゃんと撮れます、的な)。ボディとレンズとアクセサリー、その組合せを楽しむのである。例えば、バルナックライカ。ニッケルレンズならもちろんボディは銀象嵌のブラックペイントで(C型かDⅡ、DⅢ)。梨地のシルバーレンズならダイカスト製になる前の板金加工のⅢaがいい。例えば、1935年製のHektor 2.8cmf6.3 のレンズには1937年製のⅢa、アクセサリーシューには1935年製のサイコロファインダーSUOOQを乗せて。

AF-S Nikkor 58mm f1.4 + Df
眼福
ヨドバシ フジサワ カメラミュージアムへ。藤沢会長のカメラコレクションを集めたミュージアム、ということで新宿駅東口からのんびり歩いて行ってみた。立派なエントランスである。でも、金曜日の夕方なのに来場者は他に誰もいない。受付の方から「どうしてここを知ったのか」と何度か尋ねられた。あまり広報をしていないらしい。
ゲートをくぐる。……うわあ、これは、スゴい。圧倒的な物量。のみならず、のっけからそのライカコレクションの希少性に驚いた。ライカ本社にもこんなの残ってないんじゃない? と思えるほどの充実ぶりである。A型のエルマックス付、アナスチグマット付がなんと連番で。それどころか、オスカー・バルナック本人のサイン刻印がついた試作機のヌル・ライカまであった。他にも時代が下って、M3 初期型(M3 発売が1954年なので製作はその前年か前々年のもの)や、70年代のミノルタと組んで制作した CL の初期型(ズミクロン付)などなど。
ライカコレクション以外では、なんといっても、あのアポロ11号月面着陸時のムーンカメラ、ハッセルブラッドの一台まで展示されていたのには驚いた。機種は 500ELの1969年製。付いていたレンズは Biogon 60mm f5.6。これは初耳。後で調べてみたところ、やはり NASA 専用の特殊レンズで、中古市場に流通しているDistagon 60mmとはレンズ構成が違う。
いやあ、コレクションの質と量が凄すぎて、何時間あっても足りない。入場料3000円を高いと思うか安いと思うかだが、眼福のひとときであったことは間違いない。
初めてのデジタルライカ
初めてデジタルのライカを買ったのは2012年。ウィーンのライカショップでM9-Pを購入した。当時は1ユーロが100円ちょっと。今じゃ考えられないくらいの円高。ので、日本で買うよりユーロ圏で買う方が格段に安かった。しかも旅行中のためタックスフリー。ということで、購入してそのまま夕暮れ時のプラーター公園まで行き、初めて撮ったのがこの写真。

Summicron 50mm f2 4th + M9-P @Wien 2012
レンズは日本から持って行ったズミクロン50ミリ。球面ズミクロンの第四世代(6ビットコードは付いていない)で、90年代後半に買ったレンズ。おそらく新品で買ったライカレンズはこれ一本だけだと思う。ライカレンズにしてはあまり個性がなさそうに思えるこのレンズを、最近、写真家の方も再評価しているもよう。https://camerafan.jp/cc.php?i=839
それから、このM9-Pで世界中のいろんな街を撮りまくった。フィルムライクなCCDセンサーの色。ズミルックス35ミリの開放付近で撮るとなんとも柔らかな空気感が映り込む。

Summilux 35mm f1.4 2nd + M9-P @Venezia 2013
その後、例のセンサーガラス剥離が生じて、2012年に買った個体は手放すことになったが、CMOSセンサーでは出せないこの色合いが忘れられず、去年再度買い直すことに。……私のファーストデジタルライカである。






