naotoiwa's essays and photos

カテゴリ: car



 かれこれ巣籠もりも2ヶ月を超えた。今までなかなか出来なかった家の中の片付けもけっこうはかどった。ついでにPCの中の整理整頓も。……ということで、ずいぶんと古い写真も何枚か、ハードディスクの階層の奥底から発掘された。


 例えばこれ、20代の後半に乗っていたプジョーCTIカブリオレの写真である。当時鎌倉に住んでいて、毎週この車で湘南と都心を往復していた。朝比奈ICから横横道路、あるいは北鎌倉、大船を抜けて戸塚の原宿の交差点から国道1号線経由第三京浜。このCTI、車重は1トンに満たないのにエンジンは1.9L、トルクは十分で見た目よりも重厚でパワフルなドライブを楽しめた。ただハンドルが重くて重くて(これでパワステ付いてる?)、そしてご多分に漏れずフランス車特有の電気系統の故障の多さに悩まされた。

CTI


 でも、すぐに屋根をオープンにできる(手動だったが)カブリオレの心地よさは湘南生活ではやはり格別で、夏の日の朝早く、ひとりで茅ヶ崎の先の「虹ヶ浜」まで出かけて、そこの駐車場に車を停めてフルオープンにし、カセットテープ(!)で Kali のアルバムなんかを聴いている時間が最高だった。 Kali 、マルティニーク島のアーティストである。当時は車も音楽もどこまでもフランスかぶれで、我ながらなんともイヤ味な青年であったと思う。(笑)

 そして、この車で一番強烈に印象に残っているのは、あれは1990年の大晦日だったか、鎌倉は大晦日の23時を過ぎると交通規制で車で市内に入れなくなるのだが、若さに任せてついつい遅くまで遊びほうけて定刻を過ぎてしまい、滑川の交差点から中に入れなくなってしまった。警察官に鎌倉住民だと何度説明しても、事前に通行許可書を申請していないとダメの一点張りで、この車の中で新年を迎えたことをよく覚えている。



 先日、大学の授業のゲスト講師に、私の大好きな(個人的にファンでもある)広告クリエーター&ミュージシャンの方に来てもらった。サスガの授業だった。受講生たち全員、男女問わず目が♡になってる。で、帰りにその方を車で最寄り駅まで送っていったところ、「オオイワさん、意外にスピード狂なんすね」とのこと。「加速グゥワングッワン来ますね」「この車、ディーゼルなんだけど」「ディーゼルのオートマでこの走りは……」とのこと。で、そのクリエーターの彼、即興でワタクシのサウンドロゴを歌詞付きで作ってくれた。それによると「いがいとスピード狂、わりとスピード狂、でも黄色信号ではちゃんととまるオオイワナオト」、だそうだ。自分ひとりで走っている時はあんまり意識したことはないけれど、なるほど、そう言われればその通りかも。「あなたの車の助手席に乗ってると、急発進急停車で首がむち打ち症になりそう」と誰かに言われたことも何度か。……

 はい、意外とスピード狂なのであります。わりとスピード狂なんです。車もそうですし、スキーの時もそうかも。先日、出張先で久しぶりにマニュアルシフトの車に乗ってヒール&トゥーで吹かしたりしてみたが、やっぱりアレ、快感なのである。

dawn

GR 18.3mm f2.8 of GR Ⅲ


 from driver's seat.




 燃費がいいのである。都内を普通にストップ&ゴーで走っていてリッター平均15キロぐらい。前の車の3倍である。おまけにディーゼルなのでリッターあたりのコストは前の車(ハイオク)の時の3分の2なのである。これは懐にやさしい。

 で、ディーゼルってどうなの?…確かにアイドリング時のエンジン音は気になる大きさである。振動もガソリン車よりは大きくて、ダッシュボードのどこかしらで共鳴するノイズが聞こえたりする。でも、トルクは厚いし、加速はかなりスムースだし、走っていて不満はまったくない。おまけにこの車、足回りがホント精緻に組みあがっていて、固めの乗り心地がブレのないハンドリングと相まって、運転していてかなり楽しい。シートも良く出来ているので疲れない。ドライビングアメニティってもう死語に近い言葉かと思っていたけれど、どうしてどうして。

 というわけで、車を替えてほぼ二ヶ月経過したところであるが、現在はほぼ毎日車に乗っている。

 最近は、若者のみならずシニア層でも車離れがかなり進んでいるようだ。(ひとりで何台もラグジュアリーカーやビンテージカーを所有する富裕層の方は別でありますが、、)都内で車を私有するのはコストパフォーマンス的にはメリットはないし、これから先の人生で交通事故を起こすリスクをゼロにしたいという人も多い。そして環境問題。ま、それらの理由はすべてごもっとも。でも、市井の車好きとしてもう一度ドライビングアメニティを味わうのも悪くない。そんなことを感じさせてくれるクリーンディーゼルなのである。

car




 最近のクルマ。エンジンはスタートボタンを押すだけ。イグニッションキーを捻る、なんてシズル感はもはやない。アイドリング時にはエンジンは自動的にストップ。これ、燃費改善にはとてもいいことなんだろうけど、停止の度にエンジンスタートとストップを繰り返されるのは慌ただしくてしようがない。各種コントロールは液晶画面のタッチパネルで。スマホ感覚?いや、これはもうスマホそのもの。でも、液晶が壊れちゃったらどうするんだろう。空調すらコントロールできなくなるのでは。そもそもがこのリモコンキー、コイツの電池が消耗したら、ドアは開けられないわエンジンはかけられないわの全くの機能不全に陥るわけで、緊急時の対応力という点ではどうなんだろう?

 最近のクルマのデザイン。外観がカッコいいのものもあるけれど、現代のクルマはみんな、構造的な見地からすればデザインが破綻していると感じるのは私だけだろうか。重いエンジンやシャシーを搭載したクルマというのは基本は鉄の塊。それなのに、それに組み合わせる部材が厚ぼったいプラスチックや樹脂類ばかり。これは、全体の軽量化や安全上の衝撃緩衝のためには正常な進化だとわかってはいるものの、メカとしての素材の統一感がまったく感じられなくなってしまった。インテリアのハリボテ感がそれを象徴している。これはどんな高級車だろうと大同小異。

 とまあ、ブツブツ文句ばかり言っていてもしようがない。次のクルマは便利な情報家電と割り切って選ぶしかあるまい。で、60歳になったら、ジャガーのE-typeとかメルセデスのバゴダとかアルファロメオのジュリアとか。そのあたりの美しきヴィンテージものをセカンドカーに。そんな日々が訪れることを夢見て、日々の仕事に励むといたしましょう。。



 15年連れ添った愛車ともついにお別れの時がやって来た。元来車に関しては浮気症で、それまでは5年以上同じクルマに乗り続けたことなんてなかったのだけれど。コイツとだけはなぜだか相性がよかった。今では時代錯誤とも言える大型排気量のターボエンジン。燃費は高速で7キロ、都内を走れば4キロを切る。でも、雪上を走る時の四駆の安定性は他のどの車にも代えがたかった。コイツといっしょに雪の季節、軽井沢から万座、そして志賀高原へのルートを何度往復したことだろう。そのせいで(凍結防止剤とかで)足回りはかなり錆び付いて、マフラーもそろそろ限界。エアサスもいつ壊れるか分からぬ。

 それにしても。40歳から15年間というのは、なかなかどうして、男の人生にとってはかけがえのない時期だった。長い間、いっしょにいてくれてありがとう。。。

allroad


 なーんて、感傷的になっていてもしょうがない。家具もクルマも、新しい方がいいに決まってる?


 

 街はどこも冬物のバーゲン真っ最中である。そろそろコートがくたびれてきたし(と理由を付けて)いくつか馴染みのブランド店をこっそり覗いてみたりしているのだけれど、どの店も今年はなにやら様相が違うのである。サイズはいつものSサイズなのに、試着するとどれもこれもゆったり目というか、はっきり言ってデカ過ぎる。「え?これでSサイズですか?」と店員さんに尋ねると、「はい、ビックシルエットタイプですから」とのこと。…なるほど。これが噂のビックシルエットか。ここ1~2年、また流行が始まっているのだ。肩のラインが落ちて、全体が丸みを帯びた大きめの、80年代、90年代を彷彿とさせるデザインである。世の中デフレ状態の時はタイトシルエットが流行し、インフレ気味になるとビックシルエットが流行するという説もある。そろそろ株価も2万円を超え、ミニバブル時代が再来するということか?

 ファッションは時代の縮図だろうけれど、でも、なにもすべてのブランドが揃いも揃って同じ方向に向かわなくてもいいのになあ、と思う。洋服だけではない。近頃のクルマのデザインも然りである。そろそろ愛車も12年落ちだしエアサス壊れる前に買い換えておかないとなあ(と理由を付けて)いくつかのディーラーをこっそり覗いてみたりしているのだけれど、はっきり言って買いたい車がないのである。みんな巨大なフロントグリルで3Dっぽいヘッドライト周り、オーガニックと言えば聞こえはいいけど、なんだか「ケバい」デザインのものばかり。

 まあ、そういうデザインに移行したくなる気分はわからないでもない。でも、これだけ価値観が多様化した現代なのだから、各メーカーは自分たちのデザイン主張をもっともっと固有化してもいいと思うのだが。

 ちなみに私は、相変わらずタイトなシルエットの洋服が好きだし、クルマは60年〜70年代のアルファロメオのジュリアやメルセデスの280SLのような古典主義のシルエットが好きである。クルマはクルマらしい形をしていればいいのだ。



 駐車場を換えることにしたのである。

 郵便ポストに勧誘のチラシが入っていたのである。え?…安い。今まで借りていたところより月額1万円以上安い。しかも完全屋内。数年前の都心では考えられないくらい良心的な値段である。なにか落とし穴があるのではと猜疑心を抱きつつ、管理会社の方に電話して現地を見てきた。なんと、ご近所にある憧れの高級マンション内の物件ではないかっ。契約書のドラフトも確認した。なるほど。マンション内の機械式駐車場ということですね。故に車両の高さ・重量制限がある。でも、それさえクリアすれば他にはさほど問題はなさそう。それを、どうしてまたこんな良心的な値段でマンション居住者以外の者に貸し出したりするのでしょうか?

 管理会社の方から最近の都心の駐車場事情を伺ってみた。それによると、ようは若い世代の車離れなのである。高級マンションに住む財力があっても今の30代や40代前半は車を所有しない人も多くなった。故に居住者専用の駐車場に「空き」が出る。もちろん車好きな人もいる。でも彼らが選ぶ車種はSUV。セダンやクーペではない。車高の高いSUV。SUVは機械式駐車場には収納できない。故に故に、都心の高級マンションの居住者専用機械式駐車場に特に「空き」が出る。なるほど。理にかなっている。こうした市場分析がダイレクトに自分の生活や経済活動に直結するのはなんとも心地よい。即決で契約することにした。我が12年オチのワゴンタイプの4駆は、スキーキャリアを外せばなんとかギリギリ車高がセーフ!だったので。

 おかげさまで、住人でもないのに、高級マンションの敷地内に入っていき、地下へと続くシックな駐車エリアへのチェーンゲートをリモコン片手にウィーンと開け、ゆっくりとスロープを下り、たいそうご立派なターンテーブルの上に車を乗っけてグォーンと大仰に回転させ、入庫番号をインプットして、しばし佇む身分となる。出庫の方とすれ違ったので、高級マンション居住者同士ってこんな感じかしらんと余裕の笑顔なんぞを浮かべてみたりした。(汗)そんなこんなで、いよいよ入庫である。うわっ、隣に停まっているのはマセラッティではないかっ。その横にワタクシの薄汚れた12年オチの、無理矢理背を低くした4駆を停めるのである。やはりお里がバレるのは時間の問題であろう。。。

mini cars

HEXANON AR 50mm f1.4 + α7s


 mini cars.




 車を買い換えることにしたのである。イタリア車なのである。でも10万円以下。……というのも、車は車だけれど今回買ったのは自転車なのである。
 BIANCHIのCAMALEONTE2。カメレオンのロゴが可愛いでしょ。色はマットホワイト、差し色はブランドカラーのceleste(チェレステ)。緑がかった青い天空色である。型落ちのものを安く買えた。

bianchi1

bianchi2

 今まではMTBを乗っていた。でも、今回買ったのはロード型のクロスバイクである。うわっ、タイヤ細っ。空気圧高っ。これ、段差のある歩道で乗るのはキケンである。堂々と車道を走るべし。うわっ、スピード出るっ、高速安定性スゴいっ。
 都会で5キロ以内ぐらいの移動はやっぱり自転車が便利なのである。そして、この蒸し暑い梅雨時でも、自転車で(失踪じゃない)疾走すると汗もあっという間に引いていくのである。

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