naotoiwa's essays and photos

カテゴリ: health



 国分寺にある大学に通い始めて、丸二ヶ月が過ぎた。今までの個人の仕事を続けつつ、大学での授業と(その準備と)研究と行政業務というのは、予想はしていたものの、かなりハード。(ま、このくらいで音を上げるつもりは毛頭ないけれど)でも、体調は悪くない。むしろ前より良くなっている気がする。たぶん、場所のせい。大学がとても「気」のいい場所にあるからだと思う。

 大学の敷地の南側を、例の国分寺崖線が貫いている。ハケ下から武蔵野台地に至る坂を登っていく途中に研究棟のいくつかが建っている。眼下には湧水池。このあたり一帯は、明治から大正の初期にかけて政財界人の別荘群が数多くあったところ。すぐ近くには犬養毅ゆかりの滄浪泉園がある。波多野承五郎氏の別荘跡。ここにも深い湧水池がある。

ハケ

CANON S120

 一帯がマイナスイオンに満ち満ちている。そして、入りくんだ迷路のようなハケの道が武蔵野の原風景への想像力をかき立ててくれる。この周辺はまさに、大岡昇平「武蔵野夫人」の舞台なのである。

 ドルジェル伯爵夫人のような心の動きは時代おくれであろうか。(ラディゲ)
『武蔵野夫人』より


 



 嘔吐って書くと、なにやら哲学的な響きを醸し出すのであるが、本日、朝起きたら急に気持ちが悪くなってトイレに駆け込むやいなや、名実共にゲーゲーと嘔吐してしまったのである。何十年ぶりだろう。苦しくて涙が出る。で、下痢。(汚くてスミマセン)すわ、ノロウィルスかも、と近くの内科に行った。

 「ここ二三日でなにか心当たりあります?生牡蠣とか」「…いいえ」「ふうむ、ちょっと横になってください。触診しますから」「はい」「うーん、そんなに腹部が硬くなってもいないし、押しても痛くないみたいだし」「お臍の下が張ってます」「熱もそんなにないしね」「…」「おそらくノロではないと思います」「よかったです」「でも、細菌性の胃腸炎に違いはありませんね」「…はい」「総合感冒薬と整腸剤と胃の粘膜保護剤と吐き気止めを出しておきます。今日はなにも食べない方がいいでしょう」「…はい」「それで、明日からは体から出ている状態と同じものを食べるようにしてください。水下痢の場合は水だけ、軟便になったらお豆腐とか。便が硬くなるまで固形物は食べてはいけませんよ」

 なるほど、妙に納得。でも、便を見て食べ物を決めるというのはいかがなものなのでしょう、サルトルさん。

 という訳で本日、仕事をキャンセルしてしまった皆さま、本当にごめんなさい。トイレの近くから離れられないでいるのです。



 咽が痛い。チリチリ。咳が出る。コホンコホン。熱を測ってみたら37度7分。うぬ?微妙。とりあえず耳鼻科に行くことにする。まあ、流行の咽風邪ってところだろう。「念のため、インフルエンザの検査しておきましょうね」ということで、「ちょっとモゾモゾしますよー」鼻腔の奥の粘膜採取、その場で、3分。「…A型ですね」「え?」「ほら、ちゃんとクッキリ出てます。A型です」「でも、インフルエンザならもう少し高熱かと」「いろんなタイプがあります。時には36度台でもインフルエンザの場合があります」「…」「薬出しておきます。リレンザ使ったことありますか?」「いえ」「吸引タイプで早く効きます」

 ということで、ここに来てインフルエンザに罹患してしまったのである。何年ぶりだろう?軽井沢の奥の湯の丸スキー場で十年前ぐらいに罹患して以来である。

 これが吸引タイプのリレンザ。そうか、最近は内服のタミフルだけじゃないんだな。

リエンザ

 で、それからずっと大人しく寝ているのだが、全然熱が下がらない。38度5分。これはもうりっぱなインフルエンザである。どうしても辛かったからこの解熱剤を、と渡されたアセトアミノフェンに手が伸びる。頓服である。

 そう言えば、昔は頓服といえば、赤いパラフィン紙で包まれていたなあと思い出す。。今じゃ、処方箋を持って薬局に行くと「お薬手帳」がどうのこうの、ジェネリック推奨に賛同しますかしませんか。…なんとも味気ない。極めて資本主義的な分業である。

 あの頃は、薬はすべてお医者さんで配合していた。看護婦さんが臼のような容器のなかで薬をすりつぶしていた情景を思い出しているうちに、熱のせいで意識が朦朧となってきた。。

 ということで、みなさん、ここ5日間ぐらいは私に近づかないようにお願いいたします。



 久しぶりに金縛りに襲われた。2年ぶりぐらい。金縛りと言えば誰かが胸の上に覆い被さってくるのがお決まりのパターンだが(フュースリの描く「夢魔」の如く)、今回はベッドの端に伸ばしていた私の左手を誰かが強く引っ張っるのだ。相手が誰であるか、その時の私には分かっている気がした。その手をようやくのことで振り解き、心身ともに覚醒した後にはすっかり忘れてしまっていたけれども。

夢魔

 で、その翌日、新潮文庫から復刊したトマス・ハーディの短編集を読んでいたら、偶然にも同じような場面に出くわした。「呪われた腕」である。

 夢魔はじっとローダを見つめながら、いったんは寝台の裾のほうへ引き下がったが、またじりじりとにじり寄ってきて、もとのように胸の上へすわり込み、先ほどと同じように左手をちらちら見せつけた。息苦しさにあえぎながら、ローダは必死の思いで右手を振り上げ、追ってくる妖怪の無礼な左腕をつかまえ、思いきり床へたたきつけた。と同時に、低い叫び声をあげて彼女自身ががばとはね起きた。

呪われた腕 トマス・ハーディ 河野一郎訳

 この後、ローダの夢の中に現れた恋敵の女の腕には奇怪な痣が現れることになる。私の夢に出て来て私の左手を引っ張った相手の掌にも、妙なものが出来たりしないといいのだけれど。身に覚えのある方、お気を付けくださいw

ハーディ

 村上柴田翻訳堂シリーズ、現在4作品。これからも続々と新刊&復刊予定とのこと。



 ようやくなんとか出歩けるまでに回復したので、近くのお医者さんまで点滴を打って貰いに行った。おや、血圧も上がってますね。耳石が動いたからかもしれませんが、ストレスから来る脳の虚血症っぽいですねえ。でも、脳梗塞も脳腫瘍も同じ症状ですから、と脅かされて、すわ、MRIを受けに行くことになった。血中コルステロール高いし。そろそろこれを機会に検査しておいた方がいいだろう。もうすぐ55歳だし。
 行ったのは銀座にあるメディカルスキャニング。ここ、入っている建物からしてなんだかバブリーなのである。一階のエレベーターフロアからしてすんごいシャンデリアが下がってる。(ちなみにこのビルには、佐賀牛のお店も入ってます。何度か来ました。せいろ蒸しうまい)で、2階の自動ドアを開けると、おお、すごい。サロンみたいな待合室。壁にはお洒落なリトグラフ。作家は村井正誠さん。先客が2−3人いた。みんななんだかバブリーな感じで、金に糸目を付けずゴージャスなドック検査に来ている感じ。(こっちは保険でお願いしてオリマス(^o^)
 完全予約制なのですぐにご案内。まずは再診。そしてロッカールームで着替え。金属系のモノはすべてここに置いていってください。かなり強い地場が発生していますので、みんなダメになってしまいますから、と脅かされる。(人間の体はダメにならないのか?)で、いよいよ最新鋭を誇るMRI室へ。ここの扉にも改めて貼り紙がしてある。「強い磁場が発生しています」と。(くどいようですが、ほんとうに人間の体はダメにならないんでしょうね??)
 若い技師がクールに説明をする。検査は約20分間です。動かないでください。なにかあったらこれを握りしめてください。そして、大きな音が出ますのでこの耳栓をしてください。そう言って、ヘッドホンみたいな耳栓を被せられる。
 で、いよいよ始まった。脳のMRI。初めての経験である。…もちろん痛くも痒くもないし、目を瞑っていれば閉所恐怖感に襲われることもないが、確かにすんごい大きな音が出る。頭痛がして頭重で、ただでさえ耳鳴りがしているのに、これは堪らぬ。数分でまた吐き気がし始める。でも、20分間はじっとしてるしかないし。…
 ということで、ま、音楽として楽しんでやろうと前向きに考えることにした。そう言えば、これ、ケミカルブラザーズのエレクトリック音に似ていなくもない。



 そうそう、この曲に似てるのだ。come with us! イエーイ。…ということで、20分間なんとか持ちこたえた。
 着替えをして待合室で待つこと20分。ふーん、この洋画家の村井正誠さんって岐阜県の大垣市出身なんだ、ふーん、などと感心していたら、本日のMRI画像がCDロムになってもう手元に。専門医がダブルチェックで診断し、レポートを一週間後に主治医の方にお届けします、とのこと。

 以上、初めての脳MRIでありました。ま、なにもなければいいけど。Come with us!

mri

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