naotoiwa's essays and photos

カテゴリ: flower

山百合

GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ


 山百合の、甘い濃密な香り。


rose

Summilux 35mm f1.4 2nd + M10-P


 roses.




 今の時期、森の中は甘い香りに包まれている。ジャスミンの花。そろそろ白い花も黄ばんできて、むせ返るような匂いである。ジャスミンはつる性で、さまざまな大木に巻き付いて成長している。ぎゅっと締め付ける。あの芳醇な香りを焚きしめながら。

jasmine

GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ



 今日は亡父の誕生日である。大正14年生まれの戦中派。令和元年の今年に生きていたら94歳である。義父がちょうど同い年で健在なのだが、この実父と義父、あまりに性格とライフスタイルが違っている。実父の方は運動万能、出歩くことが大好き。情に熱くて、短気で喧嘩っ早い一面も。

 そのせいか、若い頃に会社の上司と喧嘩して、それ以来フリーランス。71歳で亡くなるまでずっとひとりで仕事をしていた。彼がちょうど今の私の年齢と同じ頃、ようやく私も社会人として独立したのでそれ以降はスネをかじることもなくなったが、58歳から亡くなる71歳までの間も、たったひとりで仕事をし母親を養い続けた。年を取ってからもファッション関係の仕事をずっとひとりで続けるというのがどんなに大変だったことか。仕事の相手はみんな若い人ばかり。センスの古さを馬鹿にされて、屈辱的な思いをすることもあったろう。いや、そうでもないか。彼はよく仕事の接待にゴルフを利用していたが、企業の若い担当者をゴルフ場で遊ばせておきながら、ちゃっかり自分でベスグロ賞とか獲得していたし、若い人の中ではゴルフを教えてくれる大先輩として人気者だったのかもしれぬ。

 私は彼が36歳の時の子どもであり、彼が亡くなった1997年、私は同じく36歳になっていた。なにやら因縁深いことである。まあ、いずれにしても、少しばかり人生を生き急いだことは否めない父親。寿命の面でも短気すぎたのかもしれない。

 そんな彼が生まれた5月19日。昔も今も、町は新緑の、そして花々の香しい匂いで満ちている。今が盛りのジャスミンの花の香を楽しみながら、しばし亡父のことを想い出す。

jasmine

GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ


 



 五月。緑の中を歩いていると、甘い香りが鼻腔をついてくる。クチナシのような、でも、クチナシの花が咲くのはあと一ヶ月ぐらい先のことだ。薔薇だろうか? 

 クチナシでも薔薇でもなく、その甘くて、それでいてなんとも清涼感のある香りの主は、ウツギだった。

空木

GR 18.3mm f2.8 of GR Ⅱ


 空木と書く。たいがいの空木には匂いがないが、この梅花空木だけは芳醇に香るらしい。

 五月。一年のうちで一番ココロふくよかな季節。五月のことは全部覚えている。あの年の五月に自分が何を感じたのか、また別の年の五月に自分が何を思ったのか。今までの人生で、なぜだか五月のことだけは全部覚えている。

wisteria trellis

GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ


 under wisteria trellis.


菜の花

Summilux 50mm f1.4 ASPH. + M10-P


 桜と菜の花。


花冷え

Summilux 50mm f1.4 ASPH. + M10-P


 花冷え。




 何年ぶりかに浄瑠璃寺を訪れた。今までに何度か、吉祥天や三重塔の中の薬師如来の特別開扉に合わせて足を運んだことがあるが、今回は、ただ満開の馬酔木の花を見るためだけに。

浄瑠璃寺2


 二時間あまりも歩きつづけたのち、漸っとたどりついた浄瑠璃寺の小さな門のかたわらに、丁度いまをさかりと咲いていた一本の馬酔木をふと見出したときだった。

 その小さな門の中へ、石段を二つ三つ上がって、はいりかけながら、「ああ、こんなところに馬酔木が咲いている。」と僕はその門のかたわらに、丁度その門と殆ど同じくらいの高さに伸びた一本の灌木がいちめんに細かな白い花をふさふさと垂らしているのを認めると、自分のあとからくる妻のほうを向いて、得意そうにそれを指さして見せた。


堀辰雄『浄瑠璃寺の春』


浄瑠璃寺1


photos taken by Summilux 35mm f1.4 2nd + M10-P

波紋

Summilux 50mm f1.4 ASPH. + M10-P


 波紋。


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