naotoiwa's essays and photos

カテゴリ: food&drink

before

after

Summar 5cm f2 + Ⅱf + APX400


 今年最後のすいか。使用前、使用後。


金平糖

DG Summilux 15mm f1.7 ASPH. + GM1


 金平糖。


mikan

FE 55mm f1.8 + α7s


 みかん。




 久しぶりに吉祥寺南口の(というか井の頭公園入口近くの)武蔵野珈琲店に行く。古い雑居ビルの2階にある。ドリップ珈琲がうまいのだ。他にも、カプチーノは言うに及ばず、クリーム系のトッピングメニューもたくさんある。ウィーンのカフェ気分を味わえる。ここは、又吉直樹さんが通った店。「火花」にも登場するということで、最近は若いひともいっぱい来るが、昔からの常連客も多い。本日もカウンターに座っていた方は「もう36年間、通い続けてるよ」と言っていた(のを小耳に挟んだ)。Since 1982年。
 
 80年代前半、南口の丸井の脇を通って井の頭公園に下っていく七井橋通りにあったカフェは、この武蔵野珈琲店と「くれーぷりー」。店名はたしかにそれだったと記憶しているが、この店でクレープを食べた記憶はない。井の頭公園の野良猫がいつも自在に店内に出入りしていた。その後、改修されてドナテロウズという店になり、今では建物自体が跡形もなく取り壊され「いせや」になっている。

 当時、頭の中で水腫のように膨張し続けていたさまざまな想念を、ああでもないこうでもないとノオトに書き綴っていたのは「くれーぷりー」だったり、この武蔵野珈琲店だったり、あるいは南口地下の「ストーン」だった。でも、そんな過去がほんとうにあったのかどうかなんて誰にもわからない。誰にも証明することは出来ない。すべては現在の記憶の中にあるだけのことに過ぎないのではないか。……ラッセルにかぶれて『哲学入門』や『心の分析』を一心不乱に読んでいたのも、ここ武蔵野珈琲店だったか「くれーぷりー」だったか。

turtle

Elmar 5cm f3.5 L + Nooky + GXR




 うどん好き、である。炭水化物全般が好きなのかもしれぬ。炭水化物の取り過ぎは健康に良くない。せめて分量は調節しよう。常々そう思っている。もうトシですから。

 田無市に住んでいる知人から、国分寺に居るなら「小平うどん」に行くべし、と薦められた。行ってみた。びっくりした。こ、これは。……この太さはなんだ? この色はなんだ?

小平うどん

 これは、むしろ「すいとん」に近いのではないか。水団。昭和30〜40年代に母親が何度か作ってくれたことがある。といっても、小麦粉こねてちぎって煮汁に入れるだけなんだけど。でも、歯ごたえがあって腹持ちがして、少年時代の好物だった。小平うどんはこれに近い食感だ。で、味がある。田舎蕎麦を食べたときのような滋味がある。これを肉汁に付けて食べるのがスタンダードなんだそうな。

 なんのスタンダード? と国分寺在住の人に尋ねると、武蔵野うどんのスタンダートとのこと。武蔵野うどんはコシの強い手打ちうどん。江戸時代までは農村の晴れの日の食事。肉汁で食べるようになったのは明治以降、とウィキペディアには書いてある。

 武蔵野うどんが好きなら、国分寺北口の「甚五郎」にも行くべし、といっしょに小平うどんを食べていたおふたりに囁かれた。

 純真なワタクシはさっそく行ってみた。こちらのお店のものは麺はもう少し細めで色もそんなに茶色っぽくない。ところが、田舎蕎麦との合盛もできますよ〜という店員さんの悪魔の囁き。素直に合盛を注文してみた。当然分量はハーフ&ハーフかと思いきや、なんとそれぞれ一人前ずつ。つまり二人前の大盛であった。こ、これは無理だ。胃拡張になる。でも、おいしいので残すのは忍びない。どうしよう。……純真なワタクシは、あああ、けっきょく全部食べてしまった。胃の中が炭水化物だらけ。意識が朦朧とし始めた。午後の授業に差し支えそうである。

 武蔵野うどん&蕎麦、恐るべし。

pan

Planar 80mm f2.8 of Rolleiflex 2.8F + TX400


 お鍋のインスタレーション。




 日本においしい洋食屋さんは数多くあれど、やはりここの洋食は格別なのである。熱海のSCOTT。昭和21年開業なので既に創業70年を超えている。志賀直哉や谷崎潤一郎も通った名店。

 新館と旧館があるが、もちろん私は旧館の方が好みである。名物はビーフシチュー、タンシチューと言われている。でも、私はここに来るとあのデミグラスソースがかかったハンバーグステーキか豚のロースカツを注文する。といってもこの店のロースカツは俗に言うトンカツとは一線を画する。厨房でポーク肉をドンドンと叩く音が聞こえる。ステーキ肉の要領である。そのステーキ肉に衣を付けてカリッと揚げるのである。衣の中に肉汁がぎゅっと封じ込まれている。濃いキツネ色の衣とともに口の中に入れると、香ばしくなんとも懐かしい味がする。付け合わせはアスパラガスのサラダ。そして、パン。ライスではなくパン。洋食屋さんで食べる温かいロールパンはどうしてこんなにおいしいのだろう。

scott

 隣のテーブルでは、たぶん80歳は過ぎているであろう、でも矍鑠としたおばあさまが息子夫婦と一緒に背筋をピンと伸ばしてアワビのコキュールを食べていらっしゃる。これからの日本の経済事情について述べていらっしゃる。なんて上品でかっこいいのだろう。後ろのテーブルでは若いカップルが互いの顔を見つめ合いながら食後のデザートを食べている。なんて初々しいのだろう。いいなあと思う。この場所で、いろんな今までとこれからの人生が繋がっている。

 ああ、美味しかった。大満足である。最後に珈琲も注文しよう。濃厚な珈琲である。ふだんは絶対に砂糖もミルクも入れないのだが、ここの珈琲は別である。どちらも入れたくなる。さすれば甘くて懐かしい味になる。

やりうどん


 やりうどん。ごぼう天と丸天。




 伊東の佛現寺に行ってきました。市役所の隣、高台に立つ立派な日蓮宗の寺です。

佛現寺

 訪ねた理由はこちらです。天狗の詫び状。ではなく、天狗の詫び状にかこつけた(?)羊羹を購入するためです。

羊羹

 詫び状そのものは残念ながら非公開です。ひとつとして同じ文字のない、すなわちルールがまったくわからない解読不能な、通称「天狗の詫び状」がこのお寺に保存されています。この天狗の詫び状については吉田篤弘さんの「遠くの街に犬の吠える」を読むまで知りませんでした。

 ぼくは羊羹に目がないのです。自分で云うのもなんですが、まったくおかしな天狗でした。酒はからきし駄目で、とりわけ甘いものが好物というわけではありません。しかし、羊羹だけは話が別なのです。もし、峠の旅人が羊羹およびこれに類するものを携えていたら、いきなり飛び出して仰天させ、旅人があわてふためいた際に、さっと奪い取ってすみやかに飛び去る。あれでずいぶんと羊羹をいただきました。そして、こう思ったのです。自分はかつて白い桃を食べて育ったのに、いつからかこうして、黒いかたまりである羊羹に翻弄されている。嫌になりました。自分の悪行そのものが重荷になり、村人や旅人に「詫びたいのです」と寺の住職を訪って打ち明けました。

吉田篤弘著「遠くの街に犬の吠える」より


詫び状

 こ、これは、修行僧がふざけて書いた梵字の類いか、はたまた宇宙人の所業か?

鮎

GR 18.3mm f2.8 of GRⅡ


 鮎。


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