通りを走っていたら、昭和の雰囲気をたっぷり残したラーメン屋さんが一軒。看板には「よなきラーメン」の文字。思わず車を停めそうになったが、今の時間は閉まっている。

夜泣

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 あれは昭和40年代のはじめ頃。幼稚園の年少ぐらいの頃の私はずいぶんと夜泣きがひどかったらしい。で、そういうときは、父が私をおんぶして駅まで連れて行ってくれた。汽車がホウムに発着するの見せると泣きやんだという。で、帰りに駅近くの屋台でラーメンを食べさせて貰った。

 「よなきラーメンだよ」と父は言った。「よなき?なんでよなき?」「チャルメラの音を夜に鳴らしているから夜鳴き」と父親は説明してくれた。「よる、なるから、よなき?」「そう、でも、ナオトくんが、夜、泣きべそかいた後に食べるラーメンだから夜泣き、かな?」

 優しい父の背中を今でもよく覚えている。