ここに来て、また中古のハッセルブラッドの人気が復活しているらしい。デジタルバックの値段も少しばかり安くなって、今までのボディやレンズをそのままデジタルでも気軽に使用できるようになってきたからだろうか。一体型二眼レフのローライではそうはいかない。汎用性の高いハッセルブラッドのVシステムならでは、である。
でも、私が若い頃からずっと今に至るまでハッセルが好きであり続けている理由は、これはもう、その躯体のインダストリアルデザインの美しさに尽きる。素晴らしき50年代のモダニズムデザイン。
さて、初めてハッセルに憧れたのはご多分に漏れず、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の1967年の映画『欲望』(BLOW-UP)を見た時である。若き日のデヴィット・ヘミングス扮する売れっ子カメラマンがいつもスタジオで三脚に据えていたのがマグニファイニングフードとクランクを付けた500Cで、マガジンは旧型のC12。そのバックスタイルの格好良さに惚れ込んだ。ので、今まで実用に1990年代以降の501C や503CWを使っていたこともあったが、やはり今後も手元に残しておきたいのは白鏡胴Cレンズ付きの500Cということになる。
長い間、スクリーンが交換可能な500Cの最後期(あるいは500C/Mの最初期?)の71年製を愛用してきたが、今年に入ってから60年代の同じ年の製作年でボディもレンズもマガジンも揃った500Cのセットに買い換えることにした(差額は使わなくなったレンズを断捨離して)。今回のセットはすべて65年製。『欲望』(BLOW-UP)の製作年が66年だから、あの映画で使われていたのも同じ65年製かも?
それにしても、この旧式の暗い交換できないスクリーン、見にくいっすね(笑)。でも、大丈夫。暗い分だけかえって屋外の明るいところではピントのヤマが逆によく分かったりするのです。
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