本日誕生日を迎えました。くぅー、還暦だそうです。60歳だそうです。目眩がします。クラクラ。

 けっこう長い時間を生きてきましたのでね、このくらいのトシになると、正直言って「昔恋しい」ときも多いです。でもこの一年、おかげさまで、今までにない自分を規定してくれる新しい「他者」、新しい「物語」にたくさん巡り会うこともできました。「我ン張」らなくてはと思っておりマス。はい、中原中也の「頑是ない歌」のごとくです。

 思えば遠く来たもんだ 此の先まだまだ何時までか 生きてゆくのであろうけど 
 生きてゆくのであろうけど 遠く経て来た日や夜の あんまりこんなにこいしゅては 
 なんだか自信が持てないよ さりとて生きてゆく限り 結局我ン張る僕の性質(さが)


 「頑是ない歌」、大好きな作品のひとつですが、こうして読み返してみると、今の自分の半分以下の年齢で、既にこれほどのノスタルジーと達観を決め込める中原中也はやっぱり天才だわいと、改めて恐れ入ってしまう訳です。

 長く生きていると、どうしてもその分、自分のアイデンティティなるものを勝手に作り上げてしまいがちです。還暦を迎え、これからはそういうものをどんどんユルくしていけたらなあと思います。あるいは、九鬼周造言うところの「そこではまだ可能が可能のままであったところ」に遡っていけたらなあと思っています。

 それにしても。神社に行って厄年年齢表なんぞを見たりすると、なんと60歳は男も女も厄年なわけでして、還暦になった人がみんな厄年というのもなんだかなあと思ってしまう今日この頃です。「思えば遠く来たもんだ」

 *本日は、本務校の卒業式。近くの野川の桜はほぼ満開でした。 

野川

Elmarit 28mm f2.8 2nd + fp