2022年の大河ドラマは三谷幸喜さんの脚本による『鎌倉殿の13人』、北条義時が主人公である。

 若い頃から歴史好きで、特に平安末期から室町にかけての中世史には目がない。20代の後半に鎌倉に住んでいたこともあって、鎌倉周辺の源氏、北条氏ゆかりの場所はほとんどすべて見て回った。ちなみに当時住んでいたのは北条得宗家屋敷跡である宝戒寺のすぐ近くで、高時腹切りやぐらのある東勝寺跡は毎週末の散歩コースだった。

 でも、幕府滅亡後の北条氏については今まであまり関心がなく、今回改めていろいろ調べてみたのだが、なんと故郷帰りをしているのである。高時の生母である覚海尼は北条氏発祥の伊豆韮山に戻り、その元来の屋敷跡に円成寺を建立している。すぐ近くには狩野川が流れ、なんとも風光明媚な場所である。

狩野川


 北条義時が得宗と呼ばれ、第二代執権の職に付いてから鎌倉幕府が滅びるまでに約130年の月日が流れた。一族は滅亡し、その冥福を祈るための尼寺が伊豆地方の一豪族に過ぎなかった頃のかつての場所に建立された。こうして運命は振り出しに戻るのだ。円成寺跡には、彼岸花が咲いていた。

彼岸花


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