今年の雪不足は深刻だ。先日新潟に行った時も、地元のお年寄りの人たち曰く、山間部で例年の三分の一、町中では十分の一。雪かきをする必要がなかった年は自分の長い人生の中でも他にほとんど記憶がない、とのこと。

 長野もしかり。志賀高原の山の駅を過ぎて、志賀第一トンネルにさしかかる時、頭上をジャイアントスキー場のペアリフトが横切っていく。例年ならこのあたりからは本格的な雪景色のはずなのだが、今年はここまで来ても路面はドライなグレー色。

 今年だけの例外ならばいいのだけれど、地球温暖化がものすごい勢いで進んでいる気がする。このまま、この国から雪景色が消えてしまったら、と考えたところで気が滅入ってしまった。亜熱帯気候の日本、台風ばかりの日本。冬がなくなってしまった日本。

 夢の中で、僕は、昔ながらの古風なホテルの一室で、スチーム暖房のシューシューという音を聞きながら、窓の向こうの月明かりに青白く光るゲレンデを眺めている。夢の中で、僕は、凜とした空気の中、「さくさくさく。」と新雪を踏みしめている。

雪景色

GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ + Color Efex Pro