若い頃からずっと珈琲好きである。でも、最近は豆の好みが変わってきたように思う。以前は苦味の強い豆を中煎りか深煎りにしていた。好きな豆はマンデリン。でも今は、むしろ酸味の強い豆を選ぶ。代表的なのはもちろんモカだが、モカよりももっと軽やかでフルーティなものをとなると、イルガチェフェなのである。

 イルガチェフェ。モカと同じエチオピア産だが、これを浅煎りにしてお湯を落とすと、まるで紅茶のような色合いである。一口目。グレープフルーツのような、と言う人も多いが、私は梨にバラの香りとナッツの香ばしさをを足したような、そんな風に感じる。一分ぐらい置いてから二口目。なんとも上品な酸味である。レモンフレーバー。三分ぐらい置いてから三口目。酸味が増してくる。そして五分後。かなりの酸味である。唾液が出てきそうなほどだ。こんなに時間経過とともに味が変化する珈琲豆は初めてだ。まるで、香水のトップノート、ミドルノート、ラストノートみたい。芸術的である。

 おいしい珈琲は胃腸の働きを活性化してくれる。(古くて不味い珈琲は胃に当たる)そして、なによりも、あの香り。部屋中が柔らかな香ばしさに包まれて、なんとも幸せな気分になってくる。

 イルガチェフェ。ネーミングもなんともエスニックでいいですよね?

イルガチェフェ

Dallmeyer 1inch f1.8 + E-PM1