池袋界隈はふだんの活動範囲ではないのだけれど、先日、東武東上線沿線に出かける用事があったので、かの梟書茶房に寄ってみた。オープンして二年ばかり。池袋駅直結Esolaビルの中にある。ま、流行のブックカフェなんだけど、ここ、売ってる本が全部袋とじなのである。題名も表紙も明かされず、ブックディレクター、編集者の柳下恭平さんのセレクト文章だけを読んで購入するしくみ。なるほどシークレットブック。本の阿弥陀籤とも言えるかも。蔵書は約1200冊。

 自分のようにかなりの本好きを自認している者にとっては、このシステム、正直言ってなんだかまどろっこしさも拭えないのであるが、時には自分の価値観から解放されて、まるごと他人のキュレーションに委ねてみるのも快感かもしれない。計画的偶発性というやつである。サイフォン抽出の珈琲もおいしいし(あのドトールが経営)、「アカデミックエリア」と称された場所はじっくりと腰を据えてひとりシェアオフィス的にも使える。

 美術本や稀少本は依然として紙の書籍の意味はあるけれど、電子書籍がスタンダードになりつつある今、小説やエッセイの単行本・文庫本が紙であることの価値を再創造する手立てとしてはアリだと思った。なにより楽しい。袋とじだから梟書茶房と言うのだそうなw (だったら、入っているビルの名前Esolaは、ひょっとして「絵空事」のことかと勝手に想像してしまう)

 誰かに本をプレゼントするのにはたしかにこの袋とじシークレットブック、いいかも。(でも、その際にはプレゼントする方としてはやはり、中身がなんなのか知ってはおきたいのだけれど)