早いもので、今年は亡父の23回忌、亡母の7回忌にあたる。久しぶりに実家で法要を行った。ふるさとの街は昔とすっかり変わってしまったようで、その実、近くの路地には小さかった頃に嗅いた匂いがまだそのまま残っていたりして、いつもながらに困惑する。そして、身の丈の現実を思い知らされる。
 いつまでも若いつもりでいろんなことにチャレンジし続けているけれど、その実自分はすでにもう50代も後半、あと2年もすれば還暦を迎えるわけで、人生100年時代なんて言っているけれど、仮にそれが現実になったとしても折り返し地点はとうに過ぎている。今の60代は元気だし70歳過ぎても働きたい。自分もそのつもりで頑張っているものの、仮に寿命が飛躍的に伸びたとしても、成人病になる確率が大幅に減少したという話はあまり聞かない。健康でなければ、なにが定年延長なにが生涯現役、100年人生であろうか。
 両親の位牌の前でそんなことをアレコレ考えながら、ふたりは自分の老いに対してどのように感じ、どのように対処しようとしていたのか、そのヒントを教えてもらいたくて耳を澄ませていたのだけれど、写真のふたりは昔のまま(プリントされた写真は少し色褪せてきているが)微笑んでいるだけだった。

 東京に戻りまた日常生活が始まった。隣には今年7歳を過ぎた犬がいる。人間で言えば50代。頭のあたりの毛に白髪も交じり始めている。彼女にとっては人間が1日過ごしている間に7日間も過ぎてしまう計算になる。1日が1週間。毎日が我々の7倍楽しくなければ彼女の人生は割が合わない。そんなこんなを思うと、なにやらせつないばかりの梅雨の一日である。

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GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ