ミレニアムを迎える年に、自分は四十歳になった。若い頃、自分が四十歳になるなんてゼッタイにあり得ないと思っていた。そのくらい、四十歳というのは若さからはほど遠い年齢だった。だから、ノストラダムスの大予言はきっと当たるんじゃないかと思っていた。

 それから十年後、震災の年に自分は五十歳になった。で、あと二年もすれば六十歳になる。若い頃にはあり得ないと思っていたことが、情け容赦なくどんどん加速し更新されていく。

 人生100年時代。このまま六十を超え七十を超え、八十歳、九十歳になるのかもしれぬ。その時、自分はなにを思っているのだろう。八十歳の時の自分の生きがいとはなんだろう。その時、自分の頭の中にはなにが残されているのだろう。それまで自分が想ったことの断片がなんの脈絡もなく重なり合っているのだろうか。自分は、それまでの自分の感受性を誇りに思っているのだろうか。

 自分のことが一番好きなヤツのことをナルシストと呼ぶ。ナルシストは自分のことを格好いいと思っている。でも、その程度のことならたわいもないことである。一番タチが悪いのは、自分の感受性こそがイチバンだと思っているヤツのことである。

ナルシスト

Summilux 50mm f1.4 ASPH. + M10-P