ボズ・スキャッグスが来日していたようである。御年74歳。

 ボズ・スキャッグス。AORの帝王。アルバム「ミドルマン」のジャケットはホントにカッコ良かった。当時の二十歳前後の男どもはみんな、このアルバムの曲をダビングしたカセットテープをセットして女の子をドライブに誘った。東京に実家のある友人は親に買ってもらった赤いスポーツカーで、地方出身の友人はバイトで貯めたお金で買った白い国産車で。いずれにしても、クルマがないとお話にならない。クルマを持ってないと(ゴージャスな)女の子にはモテない。で、海や山のリゾート地に行き、夜はディスコで踊るのだ。そして、チークタイムになれば必ずこの曲がかかる。



 あの時、チークダンスを踊ったカップルたち。そのほとんどはのちに別れ別れになり、そのうちの幾組かだけは奇跡的にゴールインした。

 いずれにしても。我々世代のアドレッサンスは、80年代、ボズ・スキャッグスの甘くて都会的な歌声とともに始まった。あれから30年余。いろんなことが積み重なって、我々はもうすぐ60歳を迎えようとしている。さすれば、我々の憧れだった兄貴分もおのずと74歳にもなるというものだ。

 ちなみに、私がこのアルバムの中で一番好きだった曲はこれ。



 I am falling, back into your spell, back into a cell of no return. No way to rescue me.