長野にはあっという間に到着。わたしたちは駅前のバス乗り場で志賀高原行に乗る。バスは高速を二区間だけ走ってから専用道路に入っていく。そのころから雪がちらつき始め、うねるようなカーブを十ぐらいクリアする頃には、道路が真っ白になってくる。トンネルを抜ける度、白い世界は着実に完成していく。最初は道路だけだったのが、次には山肌が真っ白になり、その次には道路脇の家々が全部、そしていつの間にか見渡す限りすべてのものが真っ白に覆い尽されていく。最後のトンネルを抜けた時、ふいに道路の真上をリフトが横切って動いているのに出くわす。わたしたちの乗っているバスはそのリフトの下をくぐって行く。「さあ、ここが志賀高原の入口だよ」とあなたが教えてくれるの。「わあ、すごい、まるでおとぎ話の世界みたい」とわたしは言うの。

 翌日から、わたしはスクールに入ってスキーの猛特訓。一週間も経つ頃にはけっこううまくなって、もうどこでもあなたのあとを追って滑っていけるようになってるの。

 そうして、1月初旬のある日。午前中は吹雪いていたけど午後には晴れ上がって、でも頂上のあたりは誰も人がいなくて。そんな中、あなたがゆっくりとシュプールを描いている音だけが聞こえている。わたしはその音をたよりに後をついていく。しばらくすると、あなたがコースを外れて林の中に入っていくのが見える。あなたは、時々止まって後ろを振り返り、わたしの名前を呼ぶ。わたしはちゃんとあなたの後をついて行っているのだけど、あなたにはわたしの姿が見えていないみたい。そして、わたしもあなたの姿がだんだん見えなくなってくる。わたしはものすごく怖くなる。ああ、ひょっとして。あなたもわたしも真っ白なスキーウェアを着ているものだから、ふたりとも白銀の中に溶け込んでしまって見分けがつかなくなっているんじゃないか。……そう、わたしは気が付くの。






 昨日の夜に見た夢は、そんな夢でした。