行こう行こうと思いながらなかなか行けなかったジャン=ポール グード展。けっきょく閉幕直前に銀座のシャネル・ネクサスホールに駆け込んだ。すごい混雑である。若い人たちもいっぱい来ている。今回の展覧会のアンバサダーにモデルのKōki(キムタクと工藤静香の娘ですね)が起用されたからかもしれない。最近のCHANCEのボウリングのCMなど、とても分かりやすいものも多くなっているからかもしれない。でも、我々世代にとってグードと言えば、80年代のグレイス・ジョーンズを起用したあの衝撃的なグラフィックデザインや、90年代のエゴイストのCM、あるいは鳥籠に閉じ込められたヴァネッサ・パラディのCOCOのCMが強烈に印象に残っている。





 今回の展覧会用の新作では、今度はシャネル自身が鳥籠の中を羽ばたく『Stomy Whether』のインスタレーションがチャーミングだった。

 最近、ヴァネッサ・パラディの娘(父親はジョニー・デップ)がシャネルの新しいミューズに選ばれたとも聞く。リリー・ローズ。




 時代は一巡りしても、シャネルの、そしてグードのクリエイティビティは涸れることがない。Jean-Paul Goude。今年で御年78歳。人は、グラフィックデザイナーであり映像ディレクターであり、アーティストである彼のことを image maker と呼ぶ。

 最近の広告においては、「リアリティが大切」「これからの時代のストーリーテリングはノンフィクションであることが鍵になる」などといったクリティックばかりが目に付くが(そして、自分も普段はよくそんなことを言っているがw)、やはり、強烈なイメージメーカーによる強烈なフィクションの力はスゴイ。……グードのクリエイティブに触れるとつくづくそう思えてくる。