ずんずんと、駅から続く一本道を私は歩き続ける。この道は、数十年も昔に毎日通った道だ。大通りに軒を連ねる店のほとんどが様変わりしてしまった。でも、狭い路地に入り込むと当時の雰囲気がまだ至るところに残っている。そこに清澄な秋の日射しが降り注いでいる。

 この日射しを浴びていると、私はどんなことだって思い出せそうになる。数十年ぐらいはあっという間に行き来できそうになる。それどころか、ぐるっと回転して、自分の人生はひとつ前の人の人生になり、ぐるぐる、そのまたひとつ前の人の人生になる。何度でも、ぐるぐるぐるぐる、十回、二十回、三十回。いくらだって繰り返せる。人なんかどれだけ変わっても、この世界自体はなにも変わりはしない。世界の終わりはなかなか訪れはしない。あるいは、ほんとうの世界は、とうの昔にすでに終わってしまっているのかもしれない。

 秋の日射しを全身に浴びていると、私はいつだってそんな気分になる。すれ違う人々の顔が白くハレーションを起こしている。みんな、のっぺらぼうみたいに見えてくる。懐しさみたいな感情が時折湧き上がってきたとしても、それはカラカラに乾き切っている。

清澄

Summilux 50mm f1.4 ASPH. + M