風が吹き荒れていた。

 僕は、森の中を歩いていた。森にはたくさんの大木があって、その枝々が大きく身をしならせていた。太い幹さえもが体を震わせていた。僕は、その大木の間をすり抜けるようにして歩いていった。

 そうして突然、僕は、その広場に出た。

 楕円形をした広場だった。400メートルの競技用トラックぐらいの大きさだった。所々に芝生が張られていたが、赤土がそれを猥雑に汚していた。そうして、その広場は歪んでいた。広場の地面が左から右に向かって大きく傾斜していた。傾斜した右の隅に、古びた遊具がいくつか並んでいるのが見えた。シーソー、ブランコ、鉄棒。

 鉄棒で逆上がりをしている少年がいた。黄色いシャツを着ていた。でも、瞬きをしたら少年はすぐに消えた。もう一度瞬きをしたら、今度はシーソーもブランコも鉄棒も消えた。

 広場には誰もいなかった。なにもなかった。そうして、風だけが吹き荒れていた。

 赤土が舞い上がっていく。真っ青な空に向かって。もうとっくに日が沈んでいる時間の筈なのに、真っ青な空には、雲ひとつ浮かんでいなかった。


 どうして、こんな風景を見るのだろう。

 たぶん、あの部屋にいたからだ。あの部屋にいると、いろんな場所に迷い込む。

髑髏

Jupiter 50mm f2 + M3 + TX400