4年ぶりの鹿児島である。人工知能学会全国大会@城山観光ホテル。

 宿は、ちょっと遠いけどやっぱり今回もサンロイヤルホテルにした。理由は3つ。桜島一望の展望温泉があること、向田邦子さんが「鹿児島感傷旅行」で泊まった宿であること、あとは、すぐ近くに、ざぼんラーメン与次郎本店があること、であろうか。

 ホテルのHPにも記載されているが、向田邦子さんの『眠る盃』には以下のように書かれている。

 桜島といえば、サン・ロイヤルホテルの窓から眺めた
 夕暮の桜島の凄みは、何といったらよいか。
 午後の太陽の光で、灰色に輝いていた山脈が、
 陽が落ちるにつれて、黄金色から茶になり、
 茜色に変わり、紫に移り、墨絵から黒のシルエットとなって
 夜の闇に溶けこんでゆく有様は、
 まさに七つの色に変わるという定説通りであった。


 早朝、ホテルから歩いてすぐの長水路コースを散策する。すでに鹿児島は梅雨入りしていて、桜島がその全貌を現すことはないけれど、この季節ならではの幻想的な姿である。

長水路

Summilux 35mm f1.4 2nd + M9-P

 ホテルはここ4年でずいぶんと年期が入ってきたようだ。さて、自分はどうだろう。4年前の自分と今の自分。変わらないのは桜島だけ? 向田邦子さんはこんなふうにも言っているけれど。

 あれも無くなっている、これも無かった―
 無いものねだりのわが鹿児島感傷旅行の中で、
 結局変わらないものは、人。
 そして生きて火を吐く桜島であった。