5限の授業が終わり、その日のとりまとめをして帰路につくと都内に戻ってくるのが19時過ぎ。で、代官山の蔦屋書店に寄るのである。夜の19時からは駐車場が無料になるので車で気軽に立ち寄れる。まずはいつも通り、アートや写真関連の売り場に行く。洋書類を実際に手にとって眺められるのはありがたい。で、次に文学関連の売り場に行く。季節の特集コーナーがある。今月の特集は「海」。今日も気温は28度まで上がった。夏も近い。もうすぐ海の季節ということで、古今東西の「海」にまつわる本が並べてある。たまには誰かがキュレーションしたものに素直に乗っかってみるのも悪くないだろう。

 タイトルもそのものずばり「海」と書かれた小川洋子さんの短編集を買うことにする。もう十年以上前に出版された作品だ。セルフレジで文庫本のバーコードをセンサーに当てる。432円。決済完了。自分で紙袋に入れる。

海

 家に帰ってさっそく読んでみた。標題の「海」もさることながら「風薫るウィーンの旅六日間」が良かった。小説らしい小説だ。いろんな偶然が重なり合って、……ううむ、こういうのを偶然性の必然性というのであろうか。思弁的実在論。まあ、それはともかく。

 舞台はウィーン。時は風薫ると書いてあるからちょうど今頃の季節であろうか。そして、場所はショッテントール駅周辺の養老院となっている。フロイト博物館の近くである。昔のウィーンらしさが色濃く残る大好きなエリアである。

wien

Summilux 35mm f1.4 2nd + M9-P