マニアックなカメラはベビーローライで打ち止めのつもりだったが、それにさらに輪をかけたものを見つけてしまった。同じ127フィルム(絶滅危惧種である)使用のヤシカ44。ベビーローライとデザインが瓜二つということで訴訟問題になった曰く付きの国産二眼レフである。今回購入したのはその廉価版。44Aという機種だ。たぶん1961年製。レンズがきれいなものを奇跡的に発見。格安。1万円以下。

44A


 これ、廉価版だけあって造りがかなりシンプルである。テイクレンズ、ビューレンズともに外枠にバヨネットが付いていない。シャッタースピードは1/25、1/50、1/100、1/300のみ。スローシャッターなし。巻き上げとも連動せず。それどころかフィルムカウンターすらないので、巻き上げるたびに赤窓を開いて枚数表示を確認しなくてはならない。昔は低感度のフィルムだけだったので、裏紙のついたフィルムで赤窓越しならば露光しないということか。

赤窓


 この二眼レフに低感度のベスト版フィルムを装填して、暗いファインダー越しに黄色に染まった銀杏並木を眺めやる。もちろんモノクロなので鮮やかな黄色は写らない。シャッターをカチリと切る。シンプルだけどきちんと作動している。たぶん同い年のカメラである。