ヨーロッパの街ならいくらだって歩ける。日本にいると、一キロも歩けばうんざりするか、げんなりするかのどちらかであるが、ヨーロッパの街にいると、30分でも40分でも3キロでも4キロでも、いくらでも歩ける。

 気候の違いもあるだろう。汗をかかない。街の景観が決定的に違う。パースペクティブな設計。電柱なんか立ってない。そして、匂いと音。定時毎にどこかの教会の鐘の音。

 人はいったいどちらを幸せと思うのか。自分が死ぬ時にはまわりのものすべて、朽ちてしまえと思うのか、人間の寿命をはるかに超えて、残り続ける建物や街並みを愛おしく思うのか。暑くて湿気だらけ、頭の中までぼんやりさせられる刹那をいとおしむのか、いつも理性を呼び覚まさせる、あのひんやりとした風の中で死を思い世界の永遠を思い描くのか。

 サン・ステファノ教会の鐘が鳴っている。ピサの斜塔みたいに傾いたベルタワー。先程からずっとこんなに近くに見えているのに、複雑に交差する水路に行く手を阻まれて、なかなかたどり着くことができない。

鐘楼

Summilux 35mm f1.4 2nd + α7s

運河

FE Sonnar 55mm f1.8 + α7s