世界の公用語は今ではもう圧倒的に英語であるが、例によってあまのじゃくな私は英語以外の言葉に憧れ続ける。その中でも、もしもこれからマスターすることができたらと思うのはロシア語である。大好きなチェーホフを原語で読めたら。ギリシャ正教会のミサの言葉を原語のままで聞き取れたら。でも、ロシア語、発音があまりにもムズカシイ。全くもって聞き取れない。せいぜいがプリヴィエートどまりである。そして、あのキリル文字。ギリシャ文字のようでギリシャ文字でない。なんとも暗号めいたあの書体。マリア・シャラポアのマリアはМариа。チェーホフはЧехов。

 話は脇道に逸れるが、そのキリル文字の美しさ不可思議さを堪能するためだけにこのレンズを買った。ヘリオスの44−2。オールドレンズファンにはよく知られたレンズで、ツアイスのビオターのデッドコピーである。安価にぐるぐるボケを堪能できるレンズとして有名。で、このヘリオス(ギリシャ神話の太陽神の名前である)、通常のものはHELIOSとアルファベット表記がされているのであるが、ベラルーシのMMZ工場で作られたものだけはキリル文字で表記されている。すると、HELIOSがГEЛИOCとなるのだ。これはもう、名前だけで謎めいた写真が撮れそうであるw

HELIOS