今日は56回目の誕生日である。東京ではすでに数日前に桜の開花宣言が出たようだ。あと一週間もすれば春爛漫となるだろう。

sakura

M Rokkor 90mm f4 + M9-P


 この季節になるといつも思う。春に生まれるというのはどうなんだろうと。犬や猫で、春に生まれた子は春子と呼ばれる。暖かくなってから生まれた子なので丈夫だという説もあるし、季節の移り変わりに生まれた子は心身ともに不安定だという説もある。人間の場合はどうなんだろう。生まれた子も、そして産んだ母親も。春に子供を産むというのは真冬や真夏や秋に比べてどうなんだろうと。

 ふと気になって、自分が生まれた年の桜の開花日、満開日を調べてみた。今では過去数十年分の気象データがネットですぐに閲覧できる。便利な世の中になったものだ。で、それによると、その年の桜の開花日は4月2日、満開日は4月7日となっていた。自分が生まれた日は最高気温13度、最低気温は1度。まだまだ寒かったようである。母親が病室の窓から眺めた向こうに、残念ながら桜の花はまだ咲いてなかったようだが、昭和36年の桜の季節に三十二歳で長男を産んだ母親が、いったいなにを思いなにを感じていたのか。そんなことをふと思う今年の誕生日である。