近所に素敵な花屋さんがある。店の前に小さな黒板が置いてあって、白いチョークでそこに季節の歳時記の言葉が書かれている。その言葉がいつもとても柔らかい。前を通る度に心が和む。例えばこんな感じだ。「明日は冬至です。一年で一番日が短い日です。でも、それってつまり、これからはどんどん日が長くなるってことですよね?」
で、今週。店の前を通ったら、「もうすぐ大寒ですね。でも、木々も確実に芽吹いてきました。もうそろそろかな。でもまだまだかな?」とあった。つられてブーケをひと束買った。
Lumix G Macro 30mm f2.8 + GM1
春は待ち遠しい。でも、このままずっと冬が続くのも悪くはない。春生まれの、でも冬が大好きな自分にとって今はとても複雑な気分である。まさに、もうそろそろ。でもまだまだ。…
ちなみに、T・S・エリオットの「荒地」の出だしは有名なこんな文章から始まる。
四月は最も残酷な月、死んだ土から
ライラックを目覚めさせ、記憶と
欲望をないまぜにし、春の雨で
生気のない根をふるい立たせる。
冬はぼくたちを暖かくまもり、大地を
忘却の雪で覆い、乾いた球根で、小さな命を養ってくれた。
「荒地」T・S・エリオット 岩崎宗治訳
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