駐車場を換えることにしたのである。

 郵便ポストに勧誘のチラシが入っていたのである。え?…安い。今まで借りていたところより月額1万円以上安い。しかも完全屋内。数年前の都心では考えられないくらい良心的な値段である。なにか落とし穴があるのではと猜疑心を抱きつつ、管理会社の方に電話して現地を見てきた。なんと、ご近所にある憧れの高級マンション内の物件ではないかっ。契約書のドラフトも確認した。なるほど。マンション内の機械式駐車場ということですね。故に車両の高さ・重量制限がある。でも、それさえクリアすれば他にはさほど問題はなさそう。それを、どうしてまたこんな良心的な値段でマンション居住者以外の者に貸し出したりするのでしょうか?

 管理会社の方から最近の都心の駐車場事情を伺ってみた。それによると、ようは若い世代の車離れなのである。高級マンションに住む財力があっても今の30代や40代前半は車を所有しない人も多くなった。故に居住者専用の駐車場に「空き」が出る。もちろん車好きな人もいる。でも彼らが選ぶ車種はSUV。セダンやクーペではない。車高の高いSUV。SUVは機械式駐車場には収納できない。故に故に、都心の高級マンションの居住者専用機械式駐車場に特に「空き」が出る。なるほど。理にかなっている。こうした市場分析がダイレクトに自分の生活や経済活動に直結するのはなんとも心地よい。即決で契約することにした。我が12年オチのワゴンタイプの4駆は、スキーキャリアを外せばなんとかギリギリ車高がセーフ!だったので。

 おかげさまで、住人でもないのに、高級マンションの敷地内に入っていき、地下へと続くシックな駐車エリアへのチェーンゲートをリモコン片手にウィーンと開け、ゆっくりとスロープを下り、たいそうご立派なターンテーブルの上に車を乗っけてグォーンと大仰に回転させ、入庫番号をインプットして、しばし佇む身分となる。出庫の方とすれ違ったので、高級マンション居住者同士ってこんな感じかしらんと余裕の笑顔なんぞを浮かべてみたりした。(汗)そんなこんなで、いよいよ入庫である。うわっ、隣に停まっているのはマセラッティではないかっ。その横にワタクシの薄汚れた12年オチの、無理矢理背を低くした4駆を停めるのである。やはりお里がバレるのは時間の問題であろう。。。