ここに来て、急に寒い日が続くようになった。都心は師走並の気温だという。窓の外には冷たい雨が降っている。

 「雨音に気付いて、遅く起きた朝は」は名曲「12月の雨」。私はユーミン世代ではないが、1974年発売のアルバム「ミスリム」はご多分に漏れず持っている。買った当時は中学生。そして、この伝説的なアルバムの中で一番好きだったのが「12月の雨」。

 雨音に気付いて 遅く起きた朝は まだベッドの中で 半分眠りたい
 ストーブを付けたら 曇った硝子窓 掌で擦ると ぼんやり冬景色

 初めて聞いた時、なんてリリカルな世界だろうと思った。自分もとっとと早く大人になって、東京のアパアトでひとり暮らしを始めたいと思った。そうすればこうしたリリカルな生活が送れるのだと。

 以来、この年になるまで、一番好きな季節は12月のままだ。クリスマスが近くなると慌ただしくなって来るから、12月も初旬から中旬あたりがいい。

 最近、モデルでシンガーソングライターのchayさんがこの曲をカヴァーして、それがテレビ番組の主題歌になっているのを聞いてみたが、あのリリカルな歌詞が少しくぐもったシャウトする歌声に包まれてナカナカの出来映えである。



 それにしても、この曲がリリースされたのは今から42年前。42年!これはかなり天文学的な数字である。こちらも歳を取るはずである。おかげさまで今では「雨音に気付いて、遅く起きた朝は、まだベッドの中で、半分眠りたい」とはならず「雨音に気付いて、今日も早く起きた朝は、とりあえずベッドの中で、まだ眠ったふりをしていたい」というのが現状である。早朝覚醒である。。。

 2016年の現在、1974年当時に比べれば我々は極めて便利で快適な生活を送れるようになったが、リリカルさは決定的に不足している、と思うのだが。