昼間、どんなに蒸し暑くとも、どんなに不快な汗をかこうとも、
夕方の五時も過ぎると、ふとどこからか、すうっと風が流れ出し、
そんな時刻に街をそぞろ歩けば、海の近くは潮の匂いがぷんとして、
すれ違う女の子たちの肌からはココナッツオイルの匂いもぷんとして、
彼女たちが肩に提げたビニールのショルダーバックはきれいな白色で、
足の親指と人差し指の間に挟まったサンダルの柄もきれいな白色で、
空も茜に染まる直前はきれいな白色で、
その空に滲むロードサイドの店のオレンジ色の明かりや、
どこかで始まった花火の音や、通り過ぎるオープンカーから流れてくる音楽、
どれもこれもがなんとも、なにを見てもなにを聞いてもなにかを思い出す感じで、
これだから夏はイヤだなあ、
でも、これだから夏が好きだなあ、
とつくづく思う、八月。
Summilux 50mm f1.4 ASPH. + M9-P
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