また誕生日を迎えてしまった。20代の頃、自分が40歳になって21世紀を迎えるなんて到底信じられないことだった。それがいつの間にか、そこからまた十余年も経過してしまったのである。
 退社して一年、さすがにサラリーマン時代とは異なる苦労もあったのだろうか、ほうれい線の刻みが少し深くなった気がする。目の下のたるみもなんだか増えたような気がする。

 これからの人生、まだまだいろんなことがありそうな気がする。ゴールデンパラシュートが3回ぐらい開くかもしれないし、目も当てられぬ下流老人になっている可能性もある。5年後、10年後、やりたいこととやらねばならないことのバランスがうまく取れているのかは今ひとつ自信がないけれど。
 でも、ひとつだけ確かなこと。それは、この先、どんなことがあっても、何事からも自由である自分でいたいということ。敬愛する永井荷風さんのように。

 時雨ふる夕、古下駄のゆるみし鼻緒切れはせぬかと気遣ひながら崖道づたひ谷町の横町に行き葱醤油など買うて帰る折など、何とも言へぬ思のすることあり。哀愁の美感に酔ふことあり。かくのごとき心の自由空想の自由のみはいかに暴悪なる政府の権力とてもこれを束縛すること能はず。人の命のあるかぎり自由は滅びざるなり。

 こういう老人になるのが理想。で、荷風さん、最後はどうなるんだっけ?79歳で孤独死?…ウウム、これはさすがにカンベン願うとして。。

 そうならぬよう、明日からまた精進して参ります。みなさま、引き続きお引き立ての程を。今週、満開を迎える桜も多いことでしょう。大切なひとと大切な自分と、素敵な春の一日をお楽しみください。そうしてココロの中でこっそりと大声で叫びましょう。「人の命のあるかぎり自由は滅びざるなり!」と。ついでに小声でつぶやきましょう。「ほうれい線は豊齢線なり!」と。(?)

cherry

Summilux 50mm f1.4 ASPH. + M9-P