夜中に目が覚めた。暗闇の中でかすかになにかの音がする。ポチャリ、ポチャリ。…そのせいだろうか、イヤな夢を立て続けにいくつも見た。

 朝起きてからも、そのかすかな音は消えることはなかった。音のありかを探す。…どうやら、2階の写真の現像に使っている部屋からのようだ。ここ一ヶ月、暗室は使っていない。…扉を開ける。

暗室1

 プン、と湿気の匂いがする。壁にカビが浮き出ている。ポチャリ、ポチャリ。…確かに聞こえる。どこからだ?…あっ。
 天井に亀裂が走っていた。そこから水滴が落ちてくるのだ。真下に置いてあった印画紙の箱がぐにゃりと変形している。床もベッタリと濡れている。

暗室2

 水滴は30秒に一滴のペースで落ちてくる。天井のモルタルに手を当ててみる。…じっとりと湿気ている。雨が降っているわけでもないのに。湿気は、どうやら建物のコンクリイトそのものに溜まっているようである。

 去年あたりから自宅のあちこちが痛み出してきている。まずは備え付けのエアコンが壊れ、大晦日には水道ポンプが壊れた。そして今度は水漏れ。…ううむ、そろそろ限界なのかもしれぬ。改装して来年で20年。リフォーム前の建物自体は1970年代の建築だ。
 はてさて。今度はどうすればいいのだろう?単なる漏水ならばその部分を工事すれば直るだろうけれど、原因はどうやら建物自体の湿気と亀裂にありそうだ。

 今、この状態で直下型地震にでも見舞われたりしたら。今晩もイヤな夢の続きを見そうである。…