吉田修一さんの「横道世之介」シリーズ第三弾。そして、おそらくはこれが完結編。第一弾から読んでいるので主人公の運命はあらかじめ分かっているのに、こんなにも明るく楽しい気持ちになれるのはなぜだろう? その答えは世之介が書いた手紙の中にあった。
人生の時間ってさ、みんな少し多めにもらってるような気がするんだ。自分のためだけに使うには少しだけ多い。だから誰かのために使う分もちゃんとあって、その誰かが大切な人や困ってる人だとしたら、それほどいい人生はないと俺は思います。
吉田修一『永遠と横道世之介』(毎日新聞出版、2023)下巻、p.382
舞台は吉祥寺(の南)、そして鎌倉。綿100%の生成のTシャツで十分に心地良かった頃の、穏やかな夏の日を思い出させてくれる小説である。
Summilux 35mm f1.4 2nd + α7s