2022年03月
silhouette
Cherry Blossoms
SAKURA、SAKURA
東京も桜の開花宣言。近所の枝垂れ桜も薄紅色の枝を優雅に揺らしている。ここ一週間で染井吉野も一気に咲き誇ることだろう。SAKURA、SAKURA。

国立新美術館でやっているダミアン・ハーストの「CHERRY BLOSSOMS」展を見に行った。大好きな現代作家である。2017年にヴェネチアで見た「難破船アンビリーバブル号の宝物」展は忘れられない。展覧会自体が大がかりなフェイクであるようなその企みに圧倒された。そのダミアン・ハーストがさまざまな「桜」を描いたペインティングだけの展覧会を開催しているという。以前のスポットペインティングシリーズの延長かなと思いきや、近くで見ればペンキのしたたるポロックのアクションペインティングのようである。でも、離れて眺めると、クリムトの初期の頃の具象画のような優しくて可憐な絵画性があって、可憐なお花見を楽しめた。SAKURA、SAKURA。

all photos taken by Summilux 35mm f1.4 2nd + M8
早咲き
to the sea
啄木
雪の街
余生
54歳の時に独立して早や6年。56歳からは大学教員として遅まきながらアカデミズムの世界にもチャレンジし、研究に教育に、そして制作業務にと多忙な毎日を送らせていただいている。
まだまだ若いモンには負けないぞ、と言うは容易いが、でも、冷静に考えてみれば、クリエイターとしてのピークはとっくの昔に過ぎているわけで、そういう意味では今の時間は「余生」なのかもしれない。
「余生」と書いてしまうとなにやら残り火みたいだが、人生の後半から終盤に向けてこそ、自分にとって一番大切な仕事は何なのかを見極めつつ、それをきちんと仕上げていかなくちゃ、それがきっと自分の天職になるのではと思う今日この頃である。
こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて 死なむと思ふ
石川啄木『一握の砂』より

XF 23mm f2 + X-T30 II + Color Efex Pro
*雪の日の、小樽公園の啄木歌碑
桃の節句
今日は3月3日、雛祭り。桃の節句である。旧暦の3月3日頃、あと一ヶ月もすれば、桜も桃も満開になるだろう。春爛漫の季節である。
さて、桃の花といえば、太宰治。中原中也に「ええ? 何だいおめえの好きな花は」と聞かれて、太宰が「モ、モ、ノ、ハ、ナ」と答えたという有名なエピソードが檀一雄の『小説 太宰治』の中に描かれている。
檀一雄 『小説 太宰治』『檀一雄全集 第7巻』(沖積舎、1992年)p.25を参照
同じ無頼派でも坂口安吾は桜に惹かれて傑作『桜の森の満開の下』を書いた。桜か桃か、あるいは海棠か。春の花の好みは尽きない。
そして今日は亡母の誕生日でもある。女子力満載(?)だった母に相応しい誕生日だったのかも。