原美術館。「光—呼吸 時をすくう5人」展の終了をもって、本日いよいよ閉館である。昭和十年代に建てられたアールデコの館。若い頃から何度も足繁く通った美術館である。仕事の雑事から自分を開放したくなったとき、ジャン=ピエール・レイノーの白いタイルの部屋が無性に恋しくなった。宮島達男さんの作品を初めて見たのもここである。代休を取って平日の昼間に車でこの美術館に来て(敷地内に駐車場があるのだ)、中庭に面したカフェ・ダールで遅めのランチを食べながら何時間もぼおっとしているのが至福の時だった。そこで考えをまとめて実現した企画もいくつかある。
最後の展覧会は昨年末に予約してゆっくりと鑑賞した。亡くなられた佐藤雅晴さんの展示を最後に再びこの原美術館で見ることが出来てよかった。「東京尾行」。これからは、原美術館も佐藤雅晴さんも記憶の中でしかトレースできなくなる。