ずいぶん前から(かれこれ30年ぐらい)オールドレンズフリークであるが、最近(ここ5年ぐらい)はまったく食指が動かない、というか、動かせない。ライカを筆頭にオールドレンズ群が法外なまでに値段が上がってしまったからだ。例えば、いつか買おう(いつでも買えるさ)と思っていたズマリットクラスが最近では10万超えも当たり前。うーん、あの時買っておけばよかった、5万出せば美品レベルが手に入ったのにというのは、もうあとの祭りである。
ゆえに今までに集めたレンズを幾久しく愛で続け使い続けるしかないわけであるが、改めてコレクション(というほどのものではないが)をチェックしてみると、なんともまあ、マイナーでマニアックなものばかり。ほとほと自分でも呆れるばかりである。
例えば、これ。ライカのRレンズの広角なんだけれど、ふつうの人はこのひとつ後の世代のレトロフォーカスのものを買う。1964年に発売され4年で製造打ち切りになったF3.4なんて絶対に買わない。なぜなら、このレンズ、後玉が大きく突き出ていて、カメラのセンサーに接触してしまう。フィルムカメラで使うにしたって、初代のライカフレックスでミラーアップするしか術がない。なんとも使い勝手が悪すぎるレンズである。
幸い、α7sだとLR-LMアダプターを付けてなんとかギリギリ(お尻スレスレ)であるが、露出計はうまく機能しないし、周辺部は流れて光量もかなり落ちる。中心部だってお世辞にも解像度が高いレンズではない。
でも、それでいいのである。それが、いいのである。オールドレンズファンが望んでいるのはピクトリアルな写真なわけで、カリカリに解像度が高くて歪みのない写真になんて興味ないからオールドレンズを使うわけで、そういう意味では、この Super Angulon-R 21mm f3.4もかなり気に入っているレンズのひとつである。初期のRレンズは黄色味がかった発色で、フルサイズのセンサーで写すとシネレンズみたいに収差が出てヴィネット効果もすごい。お決まりのセリフであるが、まるで夢の中の風景みたい。と、うっとりしつつ、恐る恐るヘリコイドを回す私。(無限遠が怖い!)
Super Angulon-R 21mm f3.4 + α7s