秋が近づいてくると、無性に八木重吉の詩が読みたくなる。「秋の瞳」だ。有名なのは、例の「うつくしいもの」という詩だろう。
わたしみづからのなかでもいい
わたしの外の せかいでも いい
どこにか 「ほんとうに 美しいもの」は ないのか
それが 敵であつても かまわない
及びがたくても よい
ただ 在るといふことが 分りさへすれば、
ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ
そうなのだ。高い秋の空を見上げる頃になると、「ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ」という想いがしわじわと押し寄せてくる。まだ猛暑日が続いているようだが、九月はもうすぐ。あっという間に「秋」はやってくる。
そして、もうひとつ。この「うつくしいもの」に負けず劣らず好きなのが、「雲」という詩だ。
くものある日 くもは かなしい くものない日 そらは さびしい
GR 18.3mm f2.8 of GRⅡ
薄の穂がさまになる季節になってきた。