naotoiwa's essays and photos

2018年07月



 昨日、君と別れて帰ってから、なかなか寝付けなくて、ずっとこの本を読んでた。文庫本にしてはけっこう分厚い。600ページ近くあったかな。

 昨日、いっしょに見た映画、ストーリーなんてほとんどあってないようなものだったけれど、なかなかよかったよね。15才の男の子と13才の女の子が夏休みをひたすら待ちわびる話。

 今日から学校はいっせいに夏休みに入るみたい。大人になって何年も仕事をしていると、夏休みがいつから始まるものだったか、ついつい忘れてしまうのだけど。

 今は午後7時。もう少しで日が沈む。今度君に会うとき、この本を持っていこうと思っている。コネチカット州の海辺の町が舞台。……アップダイクの小説なんだ。題名はね、ちょっと照れるからここには書けないね。


 
 という文章を、とある広告のボディコピー用に書いたのだけれど、「これは小説ですなあ(苦笑)」とのことでボツになったので、ブログにでも載せておきます。。

lion


Elmar 5cm f3.5 + Nooky +GXR


 a lion after rain.




 東京都内にもいわゆるパワースポットは数多くあるが、近隣だとやはり目黒不動尊だろう。瀧泉寺。 

 先日、目黒のイメージスタジオ109での編集作業の合間、久しぶりに日没寸前の目黒不動尊に足を運んでみた。薄闇の中にたたずむ不動明王と愛染明王。それとコントラストを為すように、独鈷の瀧、あるいは道路を隔てた向かいの恵比寿様の池。火と水である。

愛染

 そしてなぜだかこの場所に、歌舞伎で有名な平井権八と小紫の後追い心中の塚や、かの北一輝の立派な碑文があったりする。

北一輝

 300メートルも歩けば車がひっきりなしに行き交う山手通りだが、逢魔が時の不動尊の森は、なにやらあの世とこの世をつなぐ場所のようなシルエットを見せている。

森


立て看板

F.Zuiko Auto-S 50mm f1.8 + OM-1n + Acros100


 signboard







 連日35度以上。日中は10分も歩けば全身の毛穴から汗が吹き出す。日が落ちてからも風は吹かない。この猛暑、いつまで続くのか。

 昨日、そんな猛暑の中で屋外でテニスをした自分が悪いのだけれど、ポリエステル100%の速乾Tシャツも数分で汗だくになり肌にべったり貼り付いたまま。湿度80%。いくら冷たいドリンクを飲んでも体温が下がらなかった。

 今週からそろそろ夏休みだし、避暑地に逃避しようとも思うのだが、今年の夏に限っては避暑地などというなまやさしいレベルでは解消しそうもない。いっそのこと、一足飛びに明日から真冬になってくれたらと思う。真冬のニセコか安比高原で全身フローズン状態に包まれたいと切に願う。その願望を現実にかなえるとすれば、いますぐ南半球に行くしかない。ということで、結構マジでニュージーランドのスキー場の積雪状況を調べていたりする自分がいる。

 クィーンズタウンは気温マイナス5度か。フムフム。


over the window

F.Zuiko Auto-S 50mm f1.8 + OM-1n +Acros100


 over the window.




 会社に入ったのは80年代半ば、いわゆるバブル世代である。広告代理店だったし、おそらく、その恩恵をたくさん受けていたのだろう。でも、当時、心豊かにゼイタクをしている気分になれたことは一度もなかったように思う。むしろ常に刹那的な想いにつきまとわれていた。

 如才なく振る舞って、気の利いた風なことばかり言いながら、その実、いつも心の奥底で後悔ばかりしていた。当時流行っていた曲に「リフレインが叫んでる」というのがあったが、まさしくその歌詞通りだった気がする。「どうしてどうしてできるだけやさしくしなかったのだろう」……あの頃、夏の終わりに観音崎あたりまでひとりで車を飛ばしている時、カセットに入っていた曲だ。今、原曲でこの曲を聴く勇気はないので、JUJUのカバーで聴くことにする。




 当時、自分がゼイタクのまねごとをしていたとするならば、それはカルヴィン・トムキンズの本のタイトルではないけれど、「優雅な生活が最高の復讐である」と感じていたからだったように思う。

 さて、当時、自分は何に対して復讐をしていたのだろうか。自分が逃れることのできない風土に対してだったのだろうか。まったくもっておぼつかない未来に対してだったのだろうか。

梅干し

Zuiko Auto-w 24mm f2.8 + OM-1N + Lomo100


 梅干し。




 東京に戻ったら35度を超える猛暑。もう札幌が恋しくなっている。

 札幌は寔(まこと)に美しき北の都なり。初めて見たる我が喜びは何にか例へむ。アカシヤの並木を騒がせ、ポプラの葉を裏返して吹く風の冷たさ。札幌は秋風の国なり、木立の市(まち)なり。おほらかに静かにして人の香よりは樹の香こそ勝りたれ。大なる田舎町なり、しめやかなる恋の多くありさうなる郷(さと)なり、詩人の住むべき都会なり。

石川啄木『秋風記』より


 初めて訪れた札幌のことを啄木は「大なる田舎町」と書いている。実際、当時の札幌は小樽や函館よりも人口も少なかったようだ。札幌には啄木の歌碑がふたつある。ひとつは大通公園、吉井勇の歌碑の真向かいに。もうひとつは駅の北側、偕楽園跡の公園に。

啄木の秋

 

rain drops

FE 55mm f1.8 + α7s


 rain drops.


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