2018年03月
stains
エポケ
エルゴソフトの EGword。80年代、90年代はもっぱらこれを使って文書作成を行っていた。縦書き、原稿用紙書きが自由自在。マックユーザー御用達のワープロソフトだった。が、10年ぐらい前にサポートは完全終了。その後はやむなくマイクロソフトのワードで代替しているが、やっぱりこれじゃあ「書く気」は起こらない。だって、名前からしてオフィスですからw
その EGword が今年になってリバイバルしたのである。物書堂という会社が買収して最新のマックOSにも対応させたとのこと。
さっそくダウンロードしてみた。すると、漢字トーク時代に書いていた文書のアイコンが次々に復活。何十年ぶりにいくつかの文章が蘇った。例えば、こんな一節。
この部屋の窓から見えるもの。それは空と、時々のカモメ。そうして、夜には月と星。「海が見えないのだけが残念ね」とヨダが言う。「ここは海抜何メートルなの? 」
部屋のインテリアはぜんぶヨダが決めた。白い壁に白い天井。床に白いリノリウム。白いテーブルがひとつに白い椅子が二脚。白い鉄製のベッド。白いブラインド。それ以外は何もかも壁の中の巨大なクローゼットに隠してしまった。ぜんぶ真っ白。エポケ。「いくらなんでもちょいと殺風景」とぼくが言う。「せめてモンドリアンぐらい飾らない? 」
ヨダがクローゼットの中のオーディオを操作している。チューナーのリングを回す。……ザーザー。くるくる回す。ザーザー、ザーザー。それを何度か繰り返しているうちに偶然どこかの放送局と周波数が同調して音楽が流れ始めた。するとヨダが楽しそうに言うのだ。「これが聞きたかったのよ」と。「その時偶然流れてくる音楽が、その時一番聞きたかった音楽なの」
20代の前半に書いていた小説の断片のようである。。主人公はアンドロメダ大星雲からやって来た女の子、ヨダ。
花の跡
花の上なる
eye liner
涙腺
トシを取ると涙腺が緩みやすいと言うが、まあ、自分はそう易々とは……と思っていたが、あらら、これには参った。昨日、卒業する4年のゼミ生のみなさんからこんなアルバムをいただいてしまった。昔で言えば、卒業記念の色紙といったところだろうが、我がゼミ生たちは、それを格好よくアートディレクションされたフォトブックに仕上げてくれた。私が授業中に話した(らしい)言葉のアフォリズム集になっている。おおお、ちゃんと授業中にメモ取ってくれていたのね。こんなこと言ったっけなあ。あああ、確かに言った言った。
この後、それぞれのゼミ生のメッセージがかっこいいモノクロの写真入りで載せてある。ううう、涙腺が。……ありがとう、みなさん。そして、改めてご卒業おめでとう!これからもどうぞよろしく。
お祝いする日
57歳になりました。今年の誕生日は、大学の卒業式と重なりました。自分の誕生日に、ひとからお祝いされるだけではなく、たくさんのひとに向かっておめでとうと言える。これってとても幸せなことだと思います。
4年生のみなさん、卒業おめでとう! 特にゼミ生のみなさん、一年間だけのお付き合いでしたが、ほんとうにありがとうございました。新米教員の私は、みなさんからいろんなことを学ばせていただきました。そのお礼と言ってはなんですが、年の功で(今日でまたひとつ増えましたw)みなさんよりはかなりたくさん人生の辛酸をなめていますので、社会に出てからも、なんなりと相談に来てくださいね。
一昨日、3月だというのに雪が降り出して、いったいどうなることかと心配していましたが、今日はポカポカ、暖かな春の陽気でした。大学近くの野川の桜は五分咲きぐらいでしょうか。
そう言えば、自分が大学を卒業した年も3月に雪が降りました。よく覚えています。3月20日前後、ちょうど今頃だったと記憶しています。五九豪雪と言われた年です。昭和59年。
あれから30年余。あの時、いっしょに大学から社会に飛び出していった仲間たち。先日、久々に彼ら彼女らと会う機会がありました。みんな、タフにがんばっているようでした。ずいぶんと恰幅がよくなった人もいましたが、みんな、あの頃の自分らしさはなくしてはいないようでした。
人間、そんなに変わるもんじゃありませんものね。これからも、自分らしい感受性を大切にして生き抜いていきたいですよね、お互いに。57歳の誕生日に、かの有名な詩を改めて。自戒を込めて。
「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」