国分寺にある大学に通い始めて、丸二ヶ月が過ぎた。今までの個人の仕事を続けつつ、大学での授業と(その準備と)研究と行政業務というのは、予想はしていたものの、かなりハード。(ま、このくらいで音を上げるつもりは毛頭ないけれど)でも、体調は悪くない。むしろ前より良くなっている気がする。たぶん、場所のせい。大学がとても「気」のいい場所にあるからだと思う。
大学の敷地の南側を、例の国分寺崖線が貫いている。ハケ下から武蔵野台地に至る坂を登っていく途中に研究棟のいくつかが建っている。眼下には湧水池。このあたり一帯は、明治から大正の初期にかけて政財界人の別荘群が数多くあったところ。すぐ近くには犬養毅ゆかりの滄浪泉園がある。波多野承五郎氏の別荘跡。ここにも深い湧水池がある。
CANON S120
一帯がマイナスイオンに満ち満ちている。そして、入りくんだ迷路のようなハケの道が武蔵野の原風景への想像力をかき立ててくれる。この周辺はまさに、大岡昇平「武蔵野夫人」の舞台なのである。
ドルジェル伯爵夫人のような心の動きは時代おくれであろうか。(ラディゲ)
『武蔵野夫人』より