naotoiwa's essays and photos

plum

Nikkor-P 75mm f2.8 + Bronica C2 + TX400


 japanese apricot and coins.




 横浜も神戸も長崎も、洋館や唐人屋敷が多い街である。そして、坂道の多い街である。ゆえに時折混乱する。ここはどこの中華街か?今歩いているのは横浜の元町か、それとも神戸の元町か?今登っているのは神戸の阿蘭陀坂か、長崎のオランダ坂か?

 でも、このムスリムのモスクが目に入ればこれはもう間違えようがない。今、自分が歩いている街は神戸である。神戸。なんと異国情緒豊かな街だろう。横浜、長崎を凌ぐほど。

モスク

 モスクからトアロードに戻って坂を登っていくと世界一おいしい朝食(?)で有名な北野ホテルが見えてくる。異人館通りを右折するとフランスの洋館、グラシアニ邸が道行く人を見下ろしている。その先にはロシア雑貨の店。手作りのマトリョーシカがたくさんある。近くにはスイス料理店もあるしトルコ料理店もある。そうして北野坂にたどり着く。昼食の時間だ。先ほどのグラシアニ邸もいいし、北野ホテルのアッシュも美味だ。でも、やっぱりフレンチを食べるなら北野ガーデン。大きな硝子窓越しに芝生の庭をゆったり眺める午後。食事が済んだら、ジャイナ教寺院でも見学しようか。神殿の本尊はジャイナ教の開祖、マハーヴィーラ。両眼がギラギラと光っている。サンスクリットのスヴァスティカの文様「卍」。ナチスがアーリア人の象徴として採用したハーゲンクロイツは逆卍。むせ返るようなサンダルウッドの香料から逃れるようにして外に出る。石段を登って北野町広場へ。黒川晃彦さんの彫刻がたくさん置いてある。タイトルは「晴れた日に永遠が見える」。いい言葉だと思う。

晴れた日には

 久しぶりに風見鶏の館の中に入ってみるのも悪くない。ここで優雅な幼少時代を過ごしたエルゼ嬢。他にもいくつか洋館を巡ってみる。阿蘭陀坂。神戸の阿蘭陀坂は左右の建物がずいぶんと朽ち果てている。来た道を戻って北野天満宮へ。水かけみくじを引いてみる。水に浸さない限り吉凶の文字が現れてこない。社の奥の梅園へ。そこからずっと山裾沿いに歩く。神戸の港が一望。でも、所々に震災の際に頽れた家屋の残骸が今もそのまま放置してある。
 突然どこにも行けない気持ちに襲われる。新神戸の駅はもう歩いてすぐそこなのに。どこにも戻れない気分に包まれる。大急ぎで来た道を再び戻り、石段を下り、北野坂を下って、にしむら珈琲店に逃げ込む。蔦の絡まる赤煉瓦の壁、重厚な木製の扉をがっちりと閉めて少し心が落ち着く。ここは1974年、日本で初めて会員制の喫茶店が始まった場所だ。ウィーン風の焼き菓子を注文する。シューベルトのピアノソナタが流れている。ずいぶんと心が平静に戻る。ピアノソナタは18番「幻想」。



all photos taken by Summicron 35mm f2 1st + MM

portrait

GR 18.3mm f2.8 of GRⅡ


 self portrait.


lace

GR 18.3mm f2.8 of GRⅡ


 through a lace curtain.


かりゆし

Elmarit 28mm f2.8 1st + M9-P


 Kariyushi.




 いやあ、前評判以上に素晴らしい映画だった。「パディントン」



 実写のパディントンはCGとオーディオアニマトロニクスでかなりリアルだったけど、可愛らしさは損なわれてないし、めくるめくストーリー展開、そのひとつひとつにウィットとユーモアが溢れてた。で、泣かせてくれる。動物愛・家族愛に涙ボロボロ。ストーリーは半分以上がオリジナル。ニコル・キッドマン演じる探検家の娘で冷酷な剥製師なんてキャラクター、原作のどこを探してもないし。
 それにしても。イギリス人というのはやはりすごい。世界中を探検し世界中の宝物を略奪し世界中の動物たちをハンティングの的にしておきながら、きっちりとこういう心温まる話を創れてしまうのだから。改めて感心する。

 見たのは六本木ヒルズ内のTOHO シネマズで。月曜日は1100円也。ここ、館内にポップコーンとか自由に持ち込めるのでなんだかシアワセ。

ポップコーン

 原作をはじめて読んだ小学生の頃を思い出した。「くまのパディントン」と「ドリトル先生」に明け暮れたあの頃。。

 こちらはうちにいる黒色のパディントン君。マーマレードが食べたい!

パディントン

DG Summilux 15mm f1.7 ASPH. + GM1



 ブロニカなんぞを買ってしまった。和製ハッセルブラッド。善三郎さんが作ったのでゼンザブロニカ。購入したのはC2というモデル。1965年製造開始。

bronica

Nikkor Ai 50mm f1.4 s + α7s


 聞きしに勝る荒々しいカメラである。まずはシャッター音。ハッセルのそれもかなり大きな音だが(ジュポッ)でもこちらは更に激しい。バシャ、いや、バシャーンである。公園で鳩を撮影しようとすると音にビックリしてみんな逃げていってしまったという昔の逸話はさもありなん。次に巻き上げ操作。最後にガチャとギアが壊れたような音を立てて巻き上がる。でもこれで正常。そして重い。C2モデルはマガジン一体型。総量が1.8キロもある。全身金属のカタマリ。
 世の中デジタルが全盛でフィルムカメラは風前の灯火。そんな時によりによって中判カメラ、しかもよりによってゼンザブロニカ。物好きにもほどがあるが、すべてはこのレンズのためである。はい、ゼンザブロニカには標準でニッコールの75ミリが付いているのである。このレンズがいいらしいのである。ハッセル用のプラナーよりずっとシャープ、なのにけっこう味のある収差も出すらしいのである。そんな60年代のニッコールレンズがかなり程度のいい状態でゼンザブロニカ本体と共に現存しているのである。しかも安い。嬉しくなってしまうほど安い。
 購入した個体もかなり程度が良かったが、決してコレクション用として保管されていたものではなさそうだ。巻き上げノブやシャッターダイヤルには使い込まれた痕跡が見られるし、シャッターボタンには銀一のレリーズボタンが付いていた。中判カメラが好きで好きでたまらなかったオーナーが、丁寧に慈しみながら長年使っていたことがよくわかる。そうした個体がある日ふと中古カメラ店の店先に並ぶ。そこにはどんなストーリーがあったのだろう。…シニアになったオーナーが定年を機に整理されたのだろうか?あるいは、もしかして遺族の方が。…
 オールドカメラやレンズは、そのモノを、それにまつわる何十年ものストーリーごと慈しめる点にこそ味わいがある。そしてそれは今でも現役でタフに使えるのである。バシャ、バシャーンと。

ruined

Triotar 75mm f3.5 of Rolleicode Ⅱ + PN160NS


 ruined cottage.




 旧電通築地本社ビルが売却されて早や一年。新入社員で会社に入って以来20年お世話になったビルである。当時からずっと通っている歯科医院がこの近くにあるので今でも定期的にこのビルの前を通る。

「13階大ホールにお越しください」

 数回にわたる入社面接の後、電通から内定通知が電報で届いた。文面は「〇月〇日、〇時〇分に電通築地本社ビル、13階大ホールにお越しください」…そうやって私の会社人生は始まった。愉快な会社だった。たくさんの滋養を身につけさせて貰った。あれから三十年。Trente ans se sont déjà écoulé. Le temps passe vite.

 dentsuロゴも取り外され、1960年代、丹下健三の名建築もあとは解体を待つばかり。…カメラを向ける。付いているレンズは昭和レトロなスーパータクマーの55ミリ。

dentsu

SMC Takumar 55mm f2 + NEX-7



 コトバを生業にする職業柄からか、ただその響きやスペルの面白さだけで、意味も無く(?)コトバそのものを好きになってしまうケースがけっこうある。

 例えば、バラライカ。これ、ロシアの民族楽器の名前なのである。古風な弦楽器。



 スペルはbalalajka。ちなみにロシア語ではбалалайкаと書くらしい。でも、初めてこのコトバを聞いた時にすんなりと、薔薇ライカ、と刷り込まれてしまった。好きなものふたつが重なっている。薔薇とライカ。ライカはカメラのライカw。まあ、思い込むのは勝手なのであるが、薔薇とバラライカ、決して無関係というわけでもない。神戸に古くからあるロシア料理の専門店がある。その店名がバラライカ。で、ここで売っているジャムがローズジャムなのである。薔薇のジャム。ロシアンティーに入れるととてもおいしい。

 そんなこんなでバラライカ、けっこう気に入っているコトバのひとつなのである。

 検索したらこんなのもあった。



 ふたりだけのバラライカ、というのもなかなかいいフレーズではある。

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