naotoiwa's essays and photos



 四月から毎月一篇ずつ続けている連載小説。忙しさにかまけて、だんだん息があがってきましたがっ、一週間ほど遅れで、ようやく七月篇、アップできました。

 街にはノウゼンカズラの鮮やかなオレンジ色が溢れています。

ノウゼンカズラ


 七月篇、こちらからどうぞ。



 四年前、あのままサラリーマンを続けていたら今頃どうだったんだろうと、最近ふと思うことがある。定年まであと二年。でも、再雇用を希望すればプラス五年。六十歳からの収入は激減するだろうが、年金の受給額を勘案すればその方がかえって節税対策になったりもする。大企業の福利厚生はつくづくよくできているのだ。だから、あのままサラリーマン生活をまっとうしておけば、それはそれで安定した老後を送ることもできただろう。
 今後、公務員も民間のサラリーマンも定年が延長されたり、あるいは定年そのものがなくなるケースも増えてくるだろう。でも、どんなに人生100年時代になろうとも、企業の現場で活躍できる年齢のピークは厳然としてあって、それが創造的な職務であればなおさら、後進に道を譲らなくてはならない時期は早い段階で迫ってくる。

 自分の場合は、いつまでも現場のディレクターをやり続けたかったタチで、五十の半ば近くになってもそれなりに自分の能力に関しては自信を持っていたように思われる。誰よりもアイデアは出せるし、さまざまな見識はあるし、結果誰よりもセンスの良いディレクションができる。まだまだ「若いもんには負けん!」というやつである。でも、仮に能力的にはそうだったとしても、きっともう若い頃のようには、仕事仲間に対してチャーミングに微笑むことはできなかっただろうし、楽しげな会話を創り出し得なくなっていたのではないか。今思うとそんな気がする。「若いもんには負けん!」と思っているオッサンは一度、自分が仕事仲間とミーティングをしている風景を客観的に観察するべきだと思う。ほんとうにあなたは周りに対してネガティブな雰囲気を醸し出していないか? 

 さて。サラリーマンを辞めてひとりで仕事をしつつ、大学で教育と研究にも携わらせていただくようになった今は、ようやくこんな心境になれている気がする。前にいた会社の後輩たちがどんどん活躍して欲しいと思うし、仕事でごいっしょする仲間たちにはどんどん追い抜いて欲しいと。少しは成長したのかな?

 ちょっと前まではな、若いやつにはって気持ちがあったけど、最近はなんだか踏みつけられて乗り越えられることが快感になってきた。こいつはすごいな、俺より大物になるなって感じると嬉しくなってくる。むしろそういう奴がいないと、なんだまったくって思っちまう。
小路幸也『東京公園』(平成18年、新潮社)

岬

Summilux 35mm f1.4 2nd + M10-P


 岬。


rose

Summilux 35mm f1.4 2nd + M10-P


 roses.




 最近、例の2000万円問題に影響されたわけでもないだろうが、柄にもなく老後の人生設計をシミュレーションしたりしている。えっと、65歳から30年生きるとして、……なんて考えること自体、人生100年時代とやらにまともに感化されている。オレ、真剣に長生きしよう、なんて考えてるのかも。らしくない。

 いったい自分は、これから先、何歳ぐらいまでの自分を許せるのだろう? 容姿的なこと、身体的なこと、人間関係的なこと、そしてなによりも思考的なこと、思索的なこと。

 いきなり10年後、20年後になって慌てふためくことのないように、毎年毎年一年ずつ、老いていく自分にケリを付け続けていかなくてはと思う。

 カモメはいいなあ。とても自由そうだ。

カモメ

Summilux 35mm f1.4 2nd + M10-P

観想生活

Summilux 50mm f1.4 ASPH. + M10-P


 観想生活。


雲と鉄

GR 18.3mm f2.8 of GR Ⅲ


 鉄と雲。



 早いもので、今年は亡父の23回忌、亡母の7回忌にあたる。久しぶりに実家で法要を行った。ふるさとの街は昔とすっかり変わってしまったようで、その実、近くの路地には小さかった頃に嗅いた匂いがまだそのまま残っていたりして、いつもながらに困惑する。そして、身の丈の現実を思い知らされる。
 いつまでも若いつもりでいろんなことにチャレンジし続けているけれど、その実自分はすでにもう50代も後半、あと2年もすれば還暦を迎えるわけで、人生100年時代なんて言っているけれど、仮にそれが現実になったとしても折り返し地点はとうに過ぎている。今の60代は元気だし70歳過ぎても働きたい。自分もそのつもりで頑張っているものの、仮に寿命が飛躍的に伸びたとしても、成人病になる確率が大幅に減少したという話はあまり聞かない。健康でなければ、なにが定年延長なにが生涯現役、100年人生であろうか。
 両親の位牌の前でそんなことをアレコレ考えながら、ふたりは自分の老いに対してどのように感じ、どのように対処しようとしていたのか、そのヒントを教えてもらいたくて耳を澄ませていたのだけれど、写真のふたりは昔のまま(プリントされた写真は少し色褪せてきているが)微笑んでいるだけだった。

 東京に戻りまた日常生活が始まった。隣には今年7歳を過ぎた犬がいる。人間で言えば50代。頭のあたりの毛に白髪も交じり始めている。彼女にとっては人間が1日過ごしている間に7日間も過ぎてしまう計算になる。1日が1週間。毎日が我々の7倍楽しくなければ彼女の人生は割が合わない。そんなこんなを思うと、なにやらせつないばかりの梅雨の一日である。

neu

GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ

湯治中1

湯治中2

GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ


 湯治中。


教会

GR 18.3mm f2.8 of GRⅢ


 日本でこんなに可愛らしくて素敵な教会に巡り会えるとは。@新潟

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